まずは自宅の電源波形を観測してみました。
あ、でも活電部の扱いを心得ていない方は真似しちゃだめですよ。
計測方法が適切でないと、感電したり、ブレーカーが落ちて停電したり、過熱により発煙/発火したり、いろいろな機器を修理不能なくらいに壊してしまう場合もありますからね。
これが、家のAC100Vの電圧波形で、縦軸は50V/div、横軸は5ms/divです。
100Vというのは実効値で、歪んでいなければピーク値はその√2倍の141Vあるわけですが、波形を見ると上と下がやや潰れているように見えます。
電圧波形が潰れる理由ですが、まず機器に流れる電流がどうなっているのかというと、例えば白熱電球では下の図に示すように、時々刻々の電圧値の変化に比例した電流が流れます。黄色が電圧波形で50v/div、緑色が100W白熱電球x2に流れる電流波形で2A/div、横軸は5msec/divです。
しかしながら、流れる電流が電圧の変化に沿っていない機器もあります。
下に示す波形はその典型的なもののひとつで、地デジ対応する前のHDDレコーダー (2006年製、定格消費電力41W) の電流波形です。黄色が電圧波形で50v/div、緑色が機器に流れる電流波形で0.5A/div、横軸は5msec/divです。
大きな電流が上記のような形で流れていると、「電源のインピーダンス」×「電流」によって発生する電圧降下が電流のピーク部で多く発生するために、電圧波形に歪が発生するものと理解しています。
電圧波形が歪む量は、歪みの多い大きな電流が流れていれば増えるでしょうし、自分の家に流れる電流があまり歪んでなくても、同じ柱上トランスから電気を取っている別の家に、歪みの多い大きな電流が流れていれば電圧波形の歪が増えることが考えられ、それを避けるための「マイ電柱」なんでしょうね。
初めに示した家の電圧波形ですが、歪んでいなければ、赤い点線のような波形になっているはずです。
でも、某メーカーのクリーン電源のカタログに記載されていた波形ほどには歪んでおらず、大きなノイズが重畳されているようでもないので、ひと安心しました。
仮にこの歪みを取り除いても、耳が肥えておらず、そこそこの機器しか持っていない管理人には「おそらく違いは判らないだろう」と思っていますし、それよりは、やや響き過ぎるように感じている今の部屋を、もう少しおとなしくさせる方が、音質改善への寄与は大きいのでは?と考えていましたが、実家に戻ったので、「響き過ぎる問題」は「ゼロ円」で解決しました (笑) 。
この波形を50Hz周辺も細かく表示できるスペアナソフトで見たのが以下です。
但し16bitで量子化していますので、量子化ノイズ以下である-96dB付近から下は、評価の対象にはなりません。
このスペアナソフトがどのくらいの精度を持ったものかはわかりませんけど、クリーン電源のカタログに記載されているようなグラフが得られました。
3倍の150Hz、5倍の250Hz、7倍の350Hzなどが、基本波(50Hz)比で-40dB程度検出されていますが、スピーカーからこのような電源周波数及びその高調波が漏れ聞こえてきているような様子は管理人の耳には感じられません。
アンプなどでは、整流した後にコンデンサで平滑して作った直流電圧を使って増幅していますから、電源周波数及びその高調波がそのままスピーカー出力に現れる訳ではないと考えています。
スピーカーから「ジジジ・・・・・」といった音が聞こえる場合には有効かもしれませんが、そうでない場合に音質の向上まで期待出来るんだろうか?と個人的には思っています。
でも耳の肥えた方や、高性能な機器をお持ちの方には、違いが聴こえているのかもしれません。
歪みの無い波形を用いた場合に、手持ちのスペアナソフトでどう見えるのか確認しようと考え、CDに収録されている61Hzの正弦波をスペアナソフトで見た様子。
0dB(2Vrms)をそのまま入れると、クリップして大幅に高調波が増えますので、CDプレーヤー側で、やや出力を落とした信号で計測していますが、高調波は基本波61Hzに対し-70dB以下に抑えられています。
歪みのない電圧波形であれば、このくらいになるのでしょうね。
「クリーン電源」を用いると、電源波形の高調波を基本波比で-70dB程度にまで抑えることが出来るようですので、おそらくこのくらいの結果が出るのだと想像します。
但し、それでどれだけ音が良くなるかについては、「良い方向」に向かうとは思うのですが、耳の肥えていない管理人にはわからないかと思います。