CD-4

 昔、LPレコードに4ch収録したものがありました。左右の広がりだけでなく前後の奥行き感も表現させようとしたものですが、メーカーにより方式が異なっていたことからか廃れてしまいました。その中のひとつが「CD-4 (Compatible Discrete 4-Channel) 」と呼ばれるものです。他にはQS方式とかSQ方式などがあったようです。

 「FRONT+REAR」信号に、「FRONT-REAR」信号で30kHzのキャリアを変調させたものを合わせることで、音溝の両側にそれぞれ前後2ch分の信号を収録しています。

 「CD-4」方式による4ch音声を再生するためには、カートリッジとプレーヤー内部のケーブルの特性が30kHz以上まで伸びていることが必要ですが、CD-4用の針 (具体的にはシバタ針) を使わないと、レコードの溝を傷めると言われています。
 更に、前後の音に分離させるための「デモジュレーター」と4ch分のアンプとスピーカーが必要です。
 この中で「デモジュレーター」は、当時のものしかありませんが、単体で入手する以外にも「デモジュレーター」を内蔵した4chアンプやレシーバー (これも、当時のもの) を入手する方法もあり、「ヤフオク」には時々出品されています。
 「CD-4」方式で4ch収録されたLPですが、これは「ヤフオク」にもよく出品されています。

 

 「CD-4」のLPに「ホントに30kHzなんて入るものなの?」と思った管理人は、パソコン用のスペアナソフト等を使ってライン出力を調べてみましたが、下の写真に示すように確かに30kHzが入っていますね。(シバタ針のカートリッジを使っています)

 

 更に、レコードプレーヤーの電源ををoffにすると、ターンテーブルの回転が徐々に遅くなってきます。すると、甲高い「キー」と言う音が聞こえてきて、それが徐々に低い音になっていきます。ここからも「30kHzという信号が入っているんだなぁ」ということが判ります。
(音を大きくしてこれをすると、スピーカーを壊してしまうかもしれませんので、注意が必要です。)

 

 また、最外周部の曲が始まる前の音声信号の波形を見ると、下記のように30kHz(周期が約33μs)が出ていることが確認できます。(このLPでは、曲間もずっと、30kHzが出ていました。)

 

 カセットテープだと20kHz前後までが限界でしたが、LPにはもっと高いポテンシャルがあったということですね。
 でも内周に行くほど線速度が落ち30kHzを収めるのは厳しかったようで、CD-4録音されたLPを何枚か持っていますが、内周側の30%~40%は使われていないようです。

 

 ちなみに、このCD-4による4ch方式を実現させるために、当時、針を含めたカートリッジの高域特性が大きく向上したと聞いていますし、「DOLBY DIGITAL」などの方式で実現されている、現在のサラウンド音声の先駆けだったと言えますね。

 

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 更に、CD-4のキャリア信号が実際にスピーカーから音として出ているのか確認出来ないかと考え、計測用のマイクロホン(100kHzまで使えるものでレンタル品です)で、測定を試みました。
 マイクロホンは視聴位置近くに立てたのですが、下の写真だと、30kHzは少ししか出ていませんね。
「ハイレゾ」も「DVDオーディオ/SACD」も無かった頃のスピーカー(YAMAHA NS-1000M)ですから当然ですかね?(お借りしたマイクは1本ですので1chのみの表示です)

 

 

 ここに、100kHzまで再生できるリボン型ツイーター(PIONEER PT-R7)を足して両方鳴らしてみたのが、下の波形ですが、これだと30kHzが出ているのがよくわかりますね。
 あ、でも音量を大きくすると、30kHzの連続波でスピーカーを壊してしまうので要注意ですし、ツイーターには中低域成分がカットされた信号を入れないと、ツイーターを壊してしまいます。
 これでスピーカーからも確かに30kHzが出ていることは確認できましたが、もちろん管理人には全く聴こえません。

 

 

 「CD-4」については、「懐かしいオーディオ機器」の「JR-X6」のページでも説明しています。

 

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