JR-X6

 Victorの、4chに対応したレシーバー「JR-X6」で、1970年代前半の製品です。 

 

 アンプとチューナーが一体化されたものは、「レシーバー」と呼ばれていました。
 当時から多かった「シルバーのヘアライン仕上げ」ではなく、「シャンパンゴールドっぽいヘアライン仕上げ」になっています。
 アンプ機能とチューナー機能が同居し、更に4ch対応していますので、操作ツマミが多くなり、FMのスケール部分と合わせ、前面パネルはとても賑やかになります。
 管理人の場合、こういう製品を見ていると、音質に関係なく愉しくなっちゃいますね。
 欲を言えば、フロントパネル下部にあるボタン類がシーリングトアで隠れるようになっていて、ドアの端に「ニッパー君」付きの「VICTOR」のロゴがあったら、もっと良かったのに.....と思っています。

 当時のVictor製品の型番は、プリメインアンプが「JA」、チューナーが「JT」、レシーバーが「JR」でしたが、いずれも、現在実在する団体名とは関係ありません。(笑)
 当時は「日本ビクター」という社名でしたが、社名に「日本」が付くということは、「日本以外に本家がある」ということで、機種名の頭の「J」は、「日本向けの」という意味があったのかもしれません。
 今時のオーディオ機器は、殆どが横幅430mm前後ですが、本機の横幅は500mmあります。

 

 

 メーター部分が奥まった位置にあり、操作ツマミと合わせてみると前後方向の奥行きを感じられる外観です。

 

 

 

 背面を見ると、機種名は「GX-500 / GX-550」と記載されており、レシーバーとして単体で販売されていたものが「JR-X6」で、「CD-4対応カードリッジ付きレコードプレーヤー」及び「スピーカー(4本)」と組み合わせた「4chシステムステレオ」として販売されていたのが、「GX-500」「GX-550」のようです。
 「GX-500」と「GX-550」の違いですが、組まれているスピーカーのグレードが少し違うようです。

 

 なるほど、どちらにも使えるようにフロントパネルには機種名が書かれていません。
 また、カートリッジまで含んだシステムステレオ「GX-500」「GX-550」の背面には「30kHzレベル調整」がなく、単体販売の「JR-X6」では、様々なカートリッジに対応できるように、「30kHzレベル調整」が付いているようです。

 

 

 最近、オークションで入手したものですが、今時の製品にはない特徴がいくつかあります。
 一番目立つのは、メーターが5つも並んでいること。
 4chに対応したアンプやデッキなら4ch分のメーターが付いていますが、これはチューナーも付いた「レシーバー」なので、さらに「信号強度」を示すメーターが付きます。
 コンシューマー向けのオーディオ機器で、5つもメーターが並んでいるものは多くないと思います。
 更には、同調すると指針の先端がオレンジ色に光るようになっています。
 周波数がデジタル表示される最近のチューナーには無い、アナログ的な見た目の特徴で、いろいろと視覚的に愉しめます。 

 

 各chのレベル調整を、今時のAVアンプのようにディスプレイを見ながらリモコンでするのではなく、メーターの下にある4つのVolumeで直接出来ることろが管理人は好きです。
 右上には、4chを同時に調整できるVolumeもあります。

 

 これはメーターの動作を捉えた動画です。

 

 

 

 でも、電源を切るとこんな感じで、この頃のレシーバーやチューナーは、電源をオンすることで雰囲気が一変するものが多いです。
 最近のオーディオ機器は、ランプが点灯していなくても、文字や目盛が見えるようになっているものが多いです。

 

 但しこのメーター、「ラインレベル」ではなく「音量ボリューム」に比例して振れているみたいで、レンジも狭いので、「BGM的に聴くような音量」では、メーターが僅かしか振れません。
 「定格の大きな抵抗器 (24Ω / 5W) 」をスピーカーに直列に接続して、「BGM的に聴くような音量」で、丁度良く振れるように出来ないかとトライ中ですが (あ、こういったことをする場合、抵抗器本体の発熱には十分な注意が必要ですよ。ときどき触ってみるとか、抵抗器を可燃物の上に置かないとかね..... もちろん「自己責任」です。) 、音質重視で聴くときは、HCA-8000 / HMA-8500 で聴いています。

 オーディオ機器に付いたメーターですが、「5つ並んだものが最多」かと思いきや、更に「FM Tuning」メーターが付いて、全部で6個もメーターが付いたレシーバーがSANSUIから発売されていたようで (QRX-9001、QRX-7500、QRX-5500)、こちらは上段にFM/AM受信用の2つのメーター、下段に各chのレベルを表示する4つのメーターが配置されていました。
 但し、Webで検索しても米国仕様品 (FMの受信周波数帯が88~108MHz) しか見つからず、日本向けには発売されなかったのかもしれません。
 「昔のアメ車」を思わせるような、大型で角ばったゴージャスなレシーバーで、アメリカ人向けに販売されたのでしょうかね?

 

 

 

 

 4ch対応機ですから、4chモードの切替SWが付いています。
 管理人にとっては、全部が大文字の「VICTOR」のロゴが懐かしいです。 

 

 「DISCRETE CD-4」を選択した状態で、CD-4レコードの信号を受けたとき、右のランプが点灯します。
 CD-4のレコードを再生する場合は、前もってCD-4のテストレコードなどを使って、下にあるボリュームを廻して、リアchの出力が最小になるよう調整しておく必要があります。(レコード毎に調整する必要は無く、CD-4ユニットを追加した場合や、CD-4対応カートリッジを交換した場合に必要で、CD-4対応カートリッジは、30kHz超が再生でき、「シバタ針」を使っているのが特徴です。)
  前方Lchが「CH-1」、後方Lchが「CH-2」、前方Rchが「CH-3」、後方Rchが「CH-4」です。

 CD-4のデモジュレーターは、信号に含まれる約30kHzの高周波を検出することで on/off させているようで、CD-4レコードからの信号でなく、30kHz付近に設定した低周波発振器の信号を繋いでも、このランプは点灯しちゃいます。
 Victorの「CD-4 テストレコード」には、テレビから妨害を受けた場合に、テレビとの距離を離す旨が記載されていて、当時のブラウン管方式のテレビの水平偏向周波数「15.7kHz」の高調波によって、CD-4のデモジュレーターが動作することがあったのだろうと推測します。
(ブラウン管方式のテレビから出ている「水平偏向周波数の音」については、「ハイレゾのこと」>>「20kHz以上は聴こえる?」のページに載せています。)

 取説がないので管理人の推測ですが、「MTX-1」が SONY が提唱していた「SQ」方式に対応したもの、「MTX-2 (R-M)」が SANSUI が提唱していた「QS」方式などが纏められた「Regular Matrix」に対応したものと思われます。
 「MTX-1」や「MTX-2 (R-M) 」では、一般的な2ch信号からでもリア成分を作り出すことができ、サラウンド感を出せます。

 細かい話で恐縮ですが、「CD-4」というのは「L+R」の上に「L-R」信号で変調 (モジュレーション) した30kHzを重畳させており、これを元に戻す動作は「復調 (デモジュレーション) 」と呼ばれ、その機器 / 回路は「デモジュレーター」と呼ばれます。
 一方、「SQ」や「QS」は、4ch信号をマトリックス処理で2chに「エンコード」していて、「エンコード」したものを元に戻す動作は「デコード」と呼ばれ、その機器 / 回路は「デコーダー」と呼ばれます。

 

 上の写真では、左からSONYの「SQ」、Victorの「CD-4」、東芝音楽工業の「QM」、日本コロムビアの「QX」ですが、後の2つは「QS」と共に「Regular Matrix」として纏められています。
 なお「CD-4」の信号については、本サイトの「レコード」>>「CD-4」のページでも若干説明しています。

 

 

 

 左端下部には2つのヘッドホン端子がありますが、これはSONYの初代Walkmanのように「おふたり様」向けに用意されたものではなくて、Front の L/R と Rear の L/R が出力されます。

 

 当時は、フォーンプラグが2つ付いた「4ch対応」ヘッドホンというものがあって、左右それぞれにユニットが2つずつ、前後に配置されています。
 オークションにも出品されていますから、「4chヘッドホン」などで検索すれば、現品を写真で確認できますし、入手は可能かと思います。
 最近では、音場生成技術によって、左右各1コのユニットでサラウンド感を出していますけどね。

 

 

 

 

 マイクmixing入力もあります。当時の製品にはよく付いていましたが、今時の「カラオケ」的な使い方をしていたのですかね?

 

 

 

 

 背面にあるTAPE接続用端子は、「REC」「PLAY BACK」とも、4ch分ありますし。外部入力 (AUX) も、4ch分あります。
 4chのオープンリールテープに録音してあるものは、エンコードしたものではなく独立していますから、音質的にはこれが最も有利だったと思いますが、本機が発売されていた頃に、4ch対応のオープンリールデッキを保有し、4ch録音されたオープンリールテープをコレクションされている方は、多くはなかっただろうと想像します。  

 

 中央付近の端子は「DIN端子」と呼ばれるもので、ケーブル1本で2chの録再が出来るものでしたが、クロストークが発生し易いためなのか、その後のオーディオ用途には使われなくなりました。1980年代に登場した電子楽器に使われるMIDI (Musical Instrument Digital Interface) には、今でも使われる場合があるようです。
 デジタル伝送なら、少々のクロストークは問題ないのでしょうね。
 ちなみに「DIN」とは Deutsche Industrie Normen (ドイツ工業規格、英語で言うと「German Industry Standard」) のこと。

 

 当時は、家庭用のビデオデッキもまだ無く、4chといっても音声だけを愉しむもので、これは定着しなかったようです。
 '80年代後半頃かと記憶していますが、「VHSテープ」や「レーザーディスク」で映画の音声を「ドルビーサラウンド」収録したものが出るようになってからは、後方にもスピーカーを置いて、映像と一緒に愉しむような聴き方も徐々に浸透してきました。
 このアンプなら、メーターが振れる様子も見ながら映像付きの4chで愉しむことも出来そうです。2ch音声でも本機でリア成分を作れますしね.....
 デジタル信号処理ではありませんから、前後のスピーカーから自分の耳までの距離の違いを補正するような遅延量の微調は出来ませんし、そりゃまぁ、邪道ですけどね.....

 

 

 

 このレシーバーには、FMの「DET OUT」端子があります。

 

 出荷時には「MPX IN」と接続されていますので、このままの状態でFM放送を受信できますが、Victorの4chシステムステレオのカタログによれば、当時はFMによるディスクリート4chの実験が行われていて、実際の放送に適用された場合、それに対応して発売するアダプターに、この「DET OUT」出力を接続し対応させる予定だったようです。
 でも1977年頃、管理人がFM誌「FM fan」を買うようになってから、そういった記事を見た記憶がなく、実用化には至らなかったと思われます。

 一方、通常の2CH信号の帯域内にエンコードしたQS方式やSQ方式などであれば、FM放送に載せることは可能で、1973年発行の「FM fan」の番組表には「4CH ゴールデンステージ」「4CH ネットワーク」という番組が記載されています。
 おそらく、「QS」を提唱していたサンスイと、「SQ」を提唱していたソニーがスポンサーになっていたのでは?と想像しますが、こちらについても、管理人が「FM fan」を買うようになった頃には、番組表内で見た記憶がなく、終了していたのでしょうね。
 管理人が持っている、最近オークションで入手した「FM fan 1975年 2月10日号」に拠れば、「4CH ゴールデンステージ」に関する記事が有り、少なくともこの頃までは、FMによる「4CH放送」が行われていたようです。

 FM放送での4chは定着するまでに至りませんでしたが、そこから30年近く経つ間に、デジタル方式による音声圧縮技術が開発され、現在は「映像 + 5.1chサラウンドステレオ」という形で、「地デジ」や「BS」の映画や野球中継、音楽番組などの一部で運用されていますよね。

 

 

 

 

 スピーカー端子は大きくはなく、300Ωのフィーダー線を繋ぐような端子です。
 一緒に「AC OUTLET」が映っているので、「大きくない」ことがよく判ると思います。 

 

 

 でも、これはまだ良いほうで、スピーカーとセット売りになっている場合は、下の写真に示すように、特定のコネクターしか繋げないような、特殊な形状のジャックになったものもありました。
 買ったときの状態で使う分には問題ありませんし、「+」「ー」の極性を間違えることもなさそうですが、「アンプ」あるいは「スピーカー」をグレードアップしたくなった場合には困りますよね。(コネクターを自作/改造する上級者の方も、いらっしゃったとは思いますが)

 

 

 「コンポーネントステレオ」という形が出てきてからは、いろいろなメーカーの製品を自由に組み合わせられるようになっていったものと思われます。
 でも、「自由に組み合わせることが出来る」とは云っても、100W出るアンプに定格10Wのスピーカーを繋いで思いっきり鳴らしたら、スピーカーが壊れるのは当然ですよね。
 「自由に組み合わせることが出来る」というのは、ある程度の予備知識は求められると思います。
 昔、NHK教育TVの「オーディオ入門」という番組で、長時間単音を鳴らしてスピーカーのボイスコイル部分から煙が出る場面があって今でもよく憶えています。スピーカーの定格というのは、単音を長時間連続して鳴らした場合の許容値ではないんですね。
 あの番組で、「オーディオ機器というのは、ちゃんと考えて使わないと壊れるんだよね」ということを学んでいました。今の言葉で云うと「組み合わせについては自己責任で」ということですよね。

 

 

 

 

 これはACプラグで、上がノートPCのACアダプタのプラグ、下がJR-X6のプラグです。
 当時のプラグはオーディオ用でも小さく、ケーブルも太くはありませんね。

 

 

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