ここでは、コンセプトがユニークなレコードを紹介します。
一般的にレコード盤の溝は「1本」だけで、これが螺旋状になっているのですが、このレコードの場合、B面には渦巻きが「3本」あり、タスキに拠れば「どの曲が出てくるかわからない!本邦初運まかせ頭出し選曲」というのがコンセプトのようで、1988年1月に発売された「とんねるず」の「御年賀」というレコード。
A面は「45 rpm」で1曲だけ収録されていますが、B面は「3本の音溝」が互いに干渉しないような間隔を確保するためでしょうか? 回転数を落とし「33 1/3 rpm」で収録されています。
B面の盤面を拡大すると、こういった感じで、一般的なレコードの音溝のピッチが「80~200μm程度」だったのに対し、このレコードでは。3本毎に更に広いピッチが確保されているようです。
これが、もうちょっと拡大した様子。
これと比べると、密度が大分違いますね。
「ユニークな溝」としては、これ以外にも、「内側から外側に向かって溝が刻まれたレコード」とか、「曲の最終部分で最内周をずっとトレースし続けるようなレコード」などもあったようです。
前者に関しては、最後の曲が最も盛り上がるので、ここで線速度が大きくなるようにしたのかもしれません。
後者では、曲の最終部が2秒弱のリフレインになっていて、いい感じに繋がっていたのでしょうか? (実際に曲を聴いたわけではなく、「FM誌」で読んだ情報です。)
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
これは「LPレコード」のようにも見えますが、中央の穴がちょっと大きいような.....
シングル盤と同じくらいの大きさで、レーベル部分が小さいです。
「遠近感が狂っちゃう」ような写真ですが、LPレコードを「レーベル部分も含めてシングル盤程度のサイズにまで縮めた」ような感じです。
一般的なレコードプレーヤーで再生させるためのものではなく、「車載用のレコードプレーヤー」で再生するために開発されたもののようです。
よく見ると、「FOR THE CHRYSLER CORPORATION」という記載が見え、自動車メーカーの「クライスラー」が開発した「車載用のレコードプレーヤー」に使うレコード盤で、回転数はLPの半分の「16
2/3回転」だったようです。
振動の多い自動車の中で「何でレコード盤?」という疑問もありますが、おそらく「8トラ」や「カセットテープ」が登場する前のものか?と思われ、Webで「カーレコードプレーヤー」「HIGHWAY
HiFi」で検索すると、いろいろと引っかかります。
ドライブ中に「ラジオだけじゃ物足りない」と感じている客層に対し、車内に「オープンリールデッキ」を持ち込むよりは、現実的な答えだったのでしょうかね?
「HIGHWAY HiFi」というのは、「高速道路を走行中にも高音質で愉しめます」ということなのでしょう。
日本だと「高速道路」というのは有料で、普段行かないような遠くに出掛けるときに使うものですが、アメリカでは「高速道路だらけ」で、殆どが「無料」、管理人がアメリカ赴任中は、通勤の為に毎日高速道路を使っていました。
スーパーに買出しに行ったりするのにも「高速道路」を使っていて、日本の「高速道路」とは、だいぶイメージが異なります。
「クライスラー」ですが、日本では「JEEP」というブランド名の方が親しまれているのかもしれません。
最外周部から最内周部までが「約40mm」、「音溝」のピッチは「50μm」程度ですので、最外周から最内周に達するには「800」回転くらい、「16 2/3 RPM」であることを考えると、片面の演奏時間は「800」/「16 2/3」=「48min」程度ですかね。
「LPレコード」よりも、音溝のピッチを狭め、回転数を落とすことにより、シングル盤程度の大きさで「48min程度の演奏時間を確保させたもの」と考えます。
「音溝の拡大写真」で紹介した、両面で1時間以上収録したLPレコードの拡大写真 (下の写真) と比べても、更に高密度化されていることがわかります。
大雑把に云うと、LPレコードに対し「音溝のピッチを半分、回転数を半分に」して密度を4倍化、ディスクの直径が半分なので、トータルで「LP比、約2倍の演奏時間」ということなのでしょう。
この「車載用レコードプレーヤー」ですが、「8トラ」や「カセットテープ」の登場により、廃れていったものと考えます。
さて、管理人が「16回転レコード」というものを知ったのは、上坂すみれさんの「すみれコード」という曲を聴いたときでした。(3rdシングル「パララックス・ビュー」のカップリング曲です)
「えっ?16回転のレコードなんてものが存在するの?」と思い、ヤフオクで探していると、確かに「16回転のレコード」があって、安価なものが出品されたときに、調査用に入手したものです。
16 2/3回転のレコードを製作者の意図通りに再生できるレコードプレーヤーを、管理人は持っていませんが、「33 1/3 RPM」で演奏させたものを、オープンリールデッキで「38cm/s」で録音し、「19cm/s」で再生すれば、なんとかなるカモ?です。
余談ですが、「パララックス」とは「視差」のことで、管理人の場合は、フィルムカメラを使っている頃に覚えた言葉です。
「一眼レフ」でないカメラを使った場合、レンズを通してフィルムに記録される画と、レンズから向かって「やや右上」にあるファインダーから見る画とは異なり、遠方を撮影する場合は差は少ないのですが、近傍を撮影する場合には差が無視できなくなります。
これを補正できる様な機能を、ファインダー内に持たせているカメラもありました。
「CONTAX Tvs」では、これを補正できる様な機能を、ファインダー内に持たせていました。
今では「デジタルカメラ」で撮影することが殆どになって、CCDで捉えた映像を液晶モニターで見ながら撮影する場合には「パララックス」は起きませんけどね。