丸針 (1)

 ここでは、管理人が持っているレコード針の形状を撮影しています。なお、いずれも新品の状態ではなく、何時間かは使用したものです。

 まずは、丸針 (「円錐針」と呼ぶメーカーもあります) を撮影。

 

 これは、斜め前方から針先とカンチレバー全体を捉えたもの。

 

 

 

 これは、針先を更に拡大したもの。

 

 丸針といっても、この針の場合には、針全体は円柱ではなく、一辺が約150μmの角柱の先端を円錐型に削った「ムク針」と呼ばれるものだと思われます。

 

 

 これは斜め後方から見た様子。
 先ほどの音溝の写真と合わせてみると、この円錐全体ではなく、上部の1/4くらい、高さ方向に50μmくらいが音溝の中に入ることになりますが、角度が90度以下なので、「音溝に接しているのは先端部分だけ」ということなのでしょうね。でもこんな精密加工が「何十年も前から出来ていた」というのには驚きます。

 

 

 これは、前方からみた様子

 

 

 これは、後方から見た様子。

 

 

 

 これは、真横からみた様子。

 

 

 

 これは、正面から見た様子。
 丸針なので、先端部は側面も正面も同じ様に見えますね。

 

 

 

これは、真上から見た様子です。
「被写界深度」が針の奥行きより浅く、針の先端から奥までフォーカスの合った写真は撮れませんので、先端付近に合焦させています。

 

 

 

 これは、更に倍率を上げて前方から見た様子。 

 

 

 これは側面から見た様子。

 

 

 正面 (左側の写真) と、側面 (右側の写真) を比較したもの。
 正面からみると針先端部に変曲点があり(矢印部分)、左右chの音溝が90度になっていることを考慮すると、先端から矢印のあたりまでが音溝に接していると考えられます。

 

 メーカーのWebサイトに拠ると、「16.5ミクロン丸針」(「ミル」で言うと、0.65ミル) とのことですが、上記写真の矢印付近なら、半径は「およそ16.5ミクロン」かと思います。

 

 

 

 これは動画で撮影したものですが、先端が円錐状になっていることが判ります。

 

 

 

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 この針は、現在も発売中の「DENON」の「DL-103」のものですが、このカートリッジに関しては、管理人が説明するまでもないでしょうね。
 スケールの付いていない写真は、デジカメで撮影したものです。

 

 

 これが裏面。

 

 

 管理人の持っているデジカメでは、このあたりが限界です。

 

 

 

 これは、カンチレバー全体にフォーカスが合う様、レンズ側から見て、カンチレバー全体が奥行き方向に等距離になるようにセッティングして撮影したものです。

 

 カンチレバーの見えている部分の右端を見ると、途中から「やや太く」なり、そこから先は2重構造になっているようです。

 

 

 これは、真横から見た様子。
 カートリッジ全体が水平になるような角度にセッティングして撮影しています。

 

 

 これは、針を取り付けた部分を拡大したもの。

 

 カンチレバー先端の一部を切削した後、穴を開け、針を穴に通した後、透明な樹脂のようなもの?で固着しているように見えます。
 後述する他のカートリッジのカンチレバーの多くが、「先端を上下方向に潰している」のに対して、本カンチレバー先端の加工方法は「独特」なように思いますが、理由はわかりません。
 数多くのカートリッジを所有している方から見れば、「これも、よくある加工方法のひとつ」なのかもしれませんけどね.....
 あるいは、このカートリッジが開発された頃には、こういった加工方法が一般的だったのかもしれません。

 

 

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「DL-103」は管理人が就職する前から販売されていました。
 DENONのWebサイトに拠れば、
 「FMステレオ放送用としてNHKとの共同開発により1964年に完成したムービングコイル形ステレオカートリッジです。NHK-FM放送をはじめ民放各局、アナログレコード製作現場のプロ用標準器として活躍し、一般市販以降、シリーズモデル(レギュラー7機種、限定発売7機種の計14モデル)が企画、発売されてまいりました。」
とのことです。
 FM局の主な音源がCDに切り替わる前は、このカートリッジの音をFM放送で聴いていたのでしょうね。

 このカートリッジは、放送局やレコード製作現場などで、長きにわたり「リファレンス」として使われてきているようですので、「生産終了になったら困る」のはもちろん、「性能アップで音が変わっても困る」という「音のプロフェッショナル」の方が数多くいらっしゃるのではないでしょうかね?
 民生用には更に性能を向上させたバージョンがあるものの、オリジナルモデルの「DL-103」は、特性を一切変更せず、今後もこのままの状態で作り続けられるのだろうと思います。

 

 

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