これは、SHUREから発売されていた、針圧計「SFG-2」というもの。
「SFG」とは「Stylus Force Gauge」のことなのでしょう。
管理人が「V15TYPE III」を購入した頃に入手した頃 (1970年代末) は「¥2,000程度」だったと思うのですが、2013年9月のカタログでは「¥6,300」だったようです。
その間に、物価も所得も「3倍くらい」には、上昇しているのでしょうかね?
エンジ色の部分はオリジナルかと思いますが、外郭のプラケースはオリジナルではないと思います。
40年ほど前に、管理人が付け替えてしまったのですが、この方が使い易かったのでしょう。
オリジナルの状態で保管しておいたほうが、高く売れたのかもしれませんが、転売するつもりも無いので、これでOKです (笑) 。
右側に溝が2本ありますが、どちらかに針先を置きます。
左側にあるウエイトの位置を変えることで、外側の溝に針先を置くと「0.5 ~ 1.5g」まで、内側の溝に針先を置くと「1.0 ~ 3.0g」まで測定できます。
「SHURE」はアメリカの会社で、アメリカでは一般的に重量は「ポンド」とか「オンス」で表すかと思うのですが、針圧に関しては「グラム」だったようです。
「英語」と「日本語」の取説が同梱されていましたが、「英語」の取説では「グラム」は「g」ではなく「gram」と記載されています。(アメリカでは、「g」では通じないのでしょうか?)
これは、標準針圧が「2g」のカートリッジなので、ウエイトを「1g」に設定し、「TIMES 2」の方に針を載せて釣り合うか確認、釣り合わない場合は、一旦針を持ち上げて、トーンアーム側のウエイトを動かして、再確認。
これを繰り返して合わせていきます。
SHUREのカートリッジは、軽針圧でトラッキングできることが「ウリ」のひとつで、例えば「V15 TYPE III」の標準の針圧は「1g」でしたが、他社には「2g」とか「4g」というものもあります。
どのくらいの精度があるのか確認しようと、「1円玉」で確認してみました。
左側にあるミラーを覗くことで、釣り合っているかどうか確認します。
「1g」に設定して、1円玉 (1g) を置くと、釣り合います。
「0.9g」に設定して、1円玉 (1g) を置くと、釣り合いません。
「1.1g」に設定して、1円玉 (1g) を置いても、釣り合いません。
「0.1g」違うだけで、これだけ違うのですから、「0.5g ~ 1.5g」の範囲であれば、「±0.05g程度」の精度で針圧を設定出来たかと思います。
MMカートリッジの「当時のトップメーカー」が作るだけのことはあります。
一方こちらは、デジタルで表示するものですが、何かを載せていても、左下にある「TARE」ボタンを押せば、そこで「0g」に校正されます。
(グリーンのバックライトは数秒で消灯します。)
「1円玉」もちゃんと測れます。何回も繰り返し測ると「±0.02g程度」の誤差が生じる場合がありますが、許容範囲でしょう。
「100g」までは「0.01g」単位で、「500g」までは「0.1g」単位で表示されます。
ですから、針圧だけでなく、シェルを含めたカートリッジの重量も測れます。
25gもあると、使えるトーンアーム / プレーヤーは限られると思いますが.....
今となっては、こういった針圧計の方が「使い易く、用途が広い」ですね。
カセットテープを紹介するページで、TDKの「MA-R」の重量を測定するのにも、この針圧計を使っています。
「ortofon」から現在発売されているものは「¥10,000程度」しますが、この針圧計は「Amazon」で「¥1,000 ~ ¥2,000」程度で購入したものです。
さて、トーンアーム側で針圧を設定出来るのに、別途「針圧計」を用意する必要があるの?
ということで、管理人の使っている、SAECの「WE-407/23」で試してみようと思います。
でもちょっと、その前に.....
「WE-407/23」に標準で付いているウエイトの重量は「約125g」です。
オプション品で、標準のウエイトより軽い「W-7M」は「約97g」です。
どちらのウエイトも「1回転」させると「2.5g」の針圧を掛けられます。
回転させる力である「モーメント」っていうのは、「重量 x 支点までの長さ」で決まります。
「重量が違うのに、何で同じ針圧が掛けられるの?」と思ったら.....
内側に切られた「溝のピッチ」が異なるようです。
ウエイトを廻すと、アームパイプの下部に取り付けられた「バネ」上の突起に沿って、ウエイトが前後する仕組みなのですが、軽いウエイトの方が、廻したときに多く前後するようになっているのですね。
アームパイプ側に溝を切っていたら、こうはいかないのですが、よく考えられていると思います。
いくつかのカートリッジで試してみました。
なお、針先がレコードの盤面に乗った時に、盤面とトーンアームが「ほぼ並行」になるようにカートリッジに毎に高さ調整を行い、「インサイドフォース・キャンセラー」は外しています。
また、針圧計の厚みは、レコードの厚みの数倍あるので、針圧計はターンテーブルの上には載せずに、レコード盤面に近い高さになるように「カセットテープ」のケースを2つ重ねて下駄を履かせています。
オーバーハングは「ほぼ12mm」に合わせています。
まずは「WE-407/23」に標準装備されているシェル「ULS-3X」とカートリッジを組み合わせ、標準のウエイトでトーンアーム側で「2g」にあわせたものを、針圧計で測定。
続いて、軽量のシェルと組み合わされたカートリッジを取り付け、「W-7M」のウエイトでトーンアーム側で「2g」にあわせたものを、針圧計で測定。
同じく「W-7M」のウエイトで、別のカートリッジを取り付けて、トーンアーム側で「2g」にあわせたものです。
このカートリッジは「オーバーハング調整」が出来ず、15mmくらいになっています。
(1) 標準のウエイトを使った場合、(2) オプションのウエイトを使った場合、(3) オーバーハングが12mmに合わせられない場合、の何れにおいても、トーンアーム側の設定で、概ね適正な針圧が掛けられるようです。
(なお、この針圧計を使った場合、何回も置き直すと「±0.02g」程度の測定バラツキはあります。)
他のトーンアームでもこういった結果が得られるのかどうかは判りませんが、「WE-407/23」って、良く出来た精度の高いトーンアームだったのですね。今も人気があるのも納得です。
もちろん「0.05g程度の違いでも音が変わるのが判るので、正確に合わせたい」という方は、「針圧計」を用意された方が良いかと思います。
管理人の持っているような「安価なモノ」ではなく、ortofonなどから発売されている「\10,000」程度するものなら、繰り返し測ったときの「測定バラツキ」も少ないのかもしれません。
ちなみに管理人が「SFG-2」を購入した理由は、当時家にあったレコードプレーヤーが、システムステレオ「SSL-Z3」の「プレーヤー部」だったので、お小遣いを貯めてSHUREの「V15
TYPE III」を購入したのをきっかけに、「針圧」設定にもUpgradeをしたかったから。
(バイトで貯めたお金で、「MICRO の プレーヤー」に買い換えることが出来たのは、それから4~5年後だったと思います。)
「デジタルの針圧計」を購入したのは、SAECのトーンアーム「WE-407/23」で適切な針圧設定が出来るかを確認したくて、「ヘッドシェル込みで何g」か簡単に測定できるツールが欲しかったからです。