レコード針に関する言葉

 レコード針の形状などについて使われる言葉ですが、管理人が最初に聞いたときには、「ん? 何???」って感じのものもあります。

 

 Nude
 「裸」という意味ではありません。カンチレバー先端に付いている針先全体がダイヤモンドで出来たもので、日本語では「ムク針」といいます。
 「ムク針」であることを示すため、交換針の型番に「N」という文字が使われることもあります。

 

 Bonded
 針先のベース部分は金属製になっていて、その先端にダイヤモンドを接合した「接合針」のことです。
 「接合針」であることを示すため、交換針の型番に「B」という文字が使われることもあります。

 

 Conical、Spherical
 針先端の形状を表す言葉で、メーカーよってConicalだったり、Sphericalだったりします。
 日本語では「円錐針」または「丸針」と呼ばれます。
 Sphericalの元々の意味は、「球状の、球体の」といった意味のようですが、レコード針の場合は「球針」とは呼ばれず、「丸針」と呼ばれますね。
 「丸針」であることを示すため、交換針の型番に「C」という文字が使われることもあります。
 ちなみに、レンズの場合は「Aspherical」と云う言葉があり、こちらは「非球面レンズ」と呼ばれます。 

 

 Elliptical
 「楕円針」のことです。
 「Oval」も「楕円」という意味ですが、レコード針では「Elliptical」と呼ばれることが多く、「Biradial」と呼ばれることもあるようです。
 でも、レコード針以外で、「Elliptical」という言葉は、あまり聞きませんね。
 「楕円針」であることを示すために、交換針の型番に「E」という文字が使われることもありますが、果たしてホントに「楕円なのか?」というと、「楕円針 (1) 」「楕円針 (2) 」「楕円針 (3) 」に示したように、針先の断面が楕円になるようにカッティングしたのではなく、針先の前方と後方で「面取り」をしているように見えますが.....

 

 Hyper Elliptical
 日本語で言えば「超楕円針」ですが、「Hyper Elliptical」と呼ばれることのほうが多いような気がします。
 「超楕円針」であることを示すために、交換針の型番に「HE」という文字が使われることもありますが、これは「SHURE」の針に限られるのかもしれません。 

 

 Shibata
 日本語の「シバタ針」が、そのまま「Shibata」になっています。(おそらく開発者の柴田氏に由来するのでしょう)
 元々は、30kHz以上の再生が必要とされる「CD-4」用に開発された針ですが、最近の針の一部にも採用されています。
 シバタ針を使った現行品は「お高いもの」が多いのですが、かつて「CD-4」対応カートリッジとして発売されていた、Victorの「4MD-1X」をヤフオク等で入手して、交換針「4DT-1X」を「JICO (NIPPON PRECISION JEWEL INDUSTRY CO., LTD.:日本精機宝石工業株式会社)」のサイトから入手すれば、今時の普及価格帯のカートリッジを購入するのと同じくらいの価格 (¥15,000程度) でシバタ針を使えます。
 また、「CD-4 デモジュレーター」を内蔵したアンプやレシーバーは、MCカートリッジに対応していないものが多かったのでは?と思うのですが、「4MD-1X」は「MMカートリッジ」なので、そのまま使えます。

 

 mil
 「ミリ」ではなく「ミル」で、1mil は 1inch (インチ) の 1/1000 で、1mil (ミル) = 0.0254 mm (ミリメートル) = 25.4μm (マイクロメートル)です。
 針先の寸法 (半径) を表すのに使われますが、メーカーによっては、「ミル」ではなく「マイクロメートル (μm) 」で表示されている場合もあります。
 また楕円針の場合は「r/R */*」といった記述で、短軸方向の半径と長軸方向の半径を示しています。
 おそらく「半径:radius」の頭の文字を使っているのでしょうね。
 丸針や楕円針以外の形状の針では、半径とかが示せないので、寸法に関して記載されていない場合もあります。

 

 Cantilever
 管理人は「Cantilever / カンチレバー」というのは、カートリッジ底面に付いた「先端にダイヤモンドの小片が付いた針状のもの」の名称だと、ずっと思っていました。
 たまたま「カンチレバー」を英語表記するときの綴りは?と思い、Web上の情報を見ると、「一端が固定端、他端が自由端とされた構造体」のことを云うようです。
 例えば「競技用プールにある飛び込み板」のような構造体のものを云うようで、たしかにカートリッジに付いた針状のものも「一端が固定端、他端が自由端とされた構造体」に当たります。
 自宅にあったVictorのモジュラーステレオ「SSL-Z3」に触れるようになってから40年以上経って、ようやく「カンチレバー」の「ホントの意味」を知ることになりました。
 管理人が「知っているつもり」で、実は「ホントの意味」「元々の意味」を知らない言葉というのは、オーディオの世界にも、きっと「まだまだ、たくさん」あるのだと思われ、そのうちに「チコちゃん」に叱られそうです。

 「カンチ」と聞いて、かつて月9に放送されていた「某トレンディドラマ」を連想する気持ちも判ります。
 「ビックコミック スピリッツ」に連載されていた漫画のドラマ化だったので、当時は「VHS」のビデオデッキで「2話づつ」120分テープに留守録していました。

 

 

 Stylus
 「Stylus / スタイラス」というのは「針」のことで、カンチレバーの先に付いている「ダイヤモンドの小片」のことを云うようです。
 でもMM式などのカートリッジの場合には、「交換部分全体 (ダイヤモンドの小片 + カンチレバー + マグネットなどを含む構造物) 」が「交換針」、時には「針」と呼ばれていて、英語表記では「Stylus」と呼ばれる場合もあるようで、これと区別するために、カンチレバーの先に付いている「ダイヤモンドの小片」については「スタイラスチップ」と呼ばれる場合もあるようです。
 なお、「Styli」という言葉を見ることがありますが、これは「Stylus」の複数形であり、「Stylus」は、不規則な変化をする名詞です。
 本サイトでは、誤解が生じないように、カンチレバーの先に付いている「ダイヤモンドの小片」のことをいうときには、「針」ではなく「針先」と記述する様にしているつもりですが、徹底出来ていないかもしれません (笑) 。

 

 

 Square Shank, Round Shank
 「Shank」とは、元々は「すね」「足」のことですが、「Square Shank」というのは、「針先の根元部分」の断面が四角いものを云うようで、本サイトでは、「丸針 (1) 」「楕円針 (1) 」が該当すると思います。
 この2つは「ムク針」ですから、「Nude Square Shank」と呼ばれるものと思います。

 「Round Shank」というのは、「針先の根元部分」の断面が丸いものを云うようで、本サイトでは、「丸針 (2) 」などが該当すると思われますが、この針は「接合針」のようですから、「Bonded Round Shank」と呼ばれるものと思われます。

 

 

 針先形状の種類には他にも、
 「マイクロリニア」「ラインコンタクト」「ファインライン」「レプリカント (ortofonだけ?)」と呼ばれるものなどありますが、残念ながら管理人は実機を持っていません。
 針先端を多方面から拡大して見るなどして、それぞれの特徴を自分の言葉で示すことが出来ませんので、ここではこれ以上の説明を省きます。
 (「ラインコンタクト針」のページで、ちょこっと言及しています。)

 何かの縁で、自分の眼で確認する機会に恵まれれば、載せたいと思っています。

 

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

 

 ここからは、「レコード針」とは、ちょっと離れますが.....

 

 cartridge
 「カートリッジ」というのは、トーンアームの先端に付いている「音溝の凹凸を電気信号に変換する装置」だけを指すのではありません。
 古くは、万年筆の交換用のインクは「カートリッジインク」と呼ばれていて、最近の製品では、プリンターの「インクカートリッジ」「トナーカートリッジ」などあります。
 Web上の情報を見ると「必要とされる機能をまとめた交換可能な、または交換が容易な部品」とのことで、アナログプレーヤーに使われる「カートリッジ」も、これに当てはまりますね。
 また「8トラ」とも呼ばれ、ステレオ音声が4つ並列に記録され、主にカーオーディオ用として使われていたテープも「カートリッジ」と呼ばれていました。
 またファミコンなどのゲーム機で、複数のゲームを切り替えて楽しめるように「ゲームのプログラム部」を別体化したものは「ロムカートリッジ」「カートリッジ」とも呼ばれていたようです。

 このサイトで取り上げている「カセットテープ」も、構造的には「カートリッジのひとつ」かと思うのですが、「カートリッジ」とは呼ばれないように思います。
 何故かと言うと、そもそも「カセット」とは、フランス語の「小さな宝石箱」のことのようなのですが、Philips社が提唱した方式を「コンパクトカセット / Compact Cassette」と名付けたことから始まって、その後は「必要とされる機能をまとめた交換可能な、または交換が容易な部品」を「カセット」とも称するようになったみたいです。

 

 

 下の写真は「maxell」からリリースされたトランプ。

 

 「コンパクトカセット」が広く普及た後に登場した「カートリッジ的」な録音/録画媒体には、「ビデオカセット」「エルカセット」「マイクロカセット」などがありましたが、「エルカセット」は英語表記では「ELCASET」で、「CASSETTE」という言葉は使われていませんでした。

 現在広く使われている「カセットボンベ」も、「必要とされる機能をまとめた交換可能な、または交換が容易な部品」であって、「カセット」と云う言葉は、「カートリッジと、ほぼ同じ意味」になっているようですが、元々はフランス語の「小さな宝石箱」だったのでは?と思います。

 

 

 groove
 オーディオの世界では、「レコード盤」に刻まれている「音溝」のことです。
 「LP」が登場したとき、「LP」の音溝は「SP」よりも狭い溝だったので、「micro groove」と呼ばれました。
 「groovy」は「groove」の形容詞で、元々は「溝のような」という意味だったようですが、イケてる演奏などを「groovy」と形容するようになったようです。

 

 

 vinyl
 日本語でいうと「ビニール」、正しい発音は「ヴァイニル」って感じなんですかね?
 「アナログレコード」のことを指すようで、HMV等でレコードが置いてあるコーナーには「vinyl」と表示されていたるすることがあります。
 管理人が最初に見たときには、ピンと来ませんでしたが、そこに並んでいるものを見て判りました。

 

 

 audiophile
 オーディオ雑誌等を読んでいると、「オーディオファイル」という言葉が時々出てきます。
 前後の文脈から「耳の肥えたオーディオファンの方々のことを指すんだろうなぁ~」と想像はしていて、でも何で「file (綴じる、綴じ具) 」なんだろう?というのが、管理人が若かった頃の疑問でしたが、2000年頃、Victorから発売されていた高音質CD「XRCD / Extended Resolution Compact Disc」に「superior audiophile quality」と記載されているのを見て、ようやく疑問が解けました。
 「file」ではなくて「phile」だったんですね。「○○の愛好家」といった意味のようです。
 でも趣味の少ない管理人は、「愛好家」という意味での「○○ファイル」という言葉は、「オーディオファイル」以外に聞いた覚えはありませんけどね.....

 幸い管理人の場合は、人前で恥をかく前に知ることができて良かったですが、皆さんは「オーディオファイル」と聞いて、何のことか直ぐに判りましたか?
 「file」と「phile」なんて、英語をよく知っている方だったら「間違えっこない」んですかねぇ?

 

 

 

前ページへ <   > 次ページへ

「レコ-ド針 トップページ」へ