楕円針 (1)

 これは、楕円針と呼ばれているものです。

 まずは斜め前方から、針先とカンチレバー全体を捉えたもの。

 

 (この写真は、後述する「針交換後」に撮影したものです。)

 

 

 針先を更に拡大。

 

 「楕円針」といっても、針全体の断面が楕円になっているのではありません。
 この針の場合、針全体は角柱で、先端を丸く削っているようです。
 角柱の太さは一辺が0.1mm程度と思われ、丸く削った先端部について、更に前方と後方を削って、レコード盤と接触する先端部分の断面を楕円にしているのだと思います。
 楕円にするメリットは、 前後方向の厚みを減らすことで、音溝上の間隔の短い振幅にも追従でき、高域特性が向上するということであろうか、と理解していますが、管理人が聴いて判るのかというと、???です。

 

 

 これは、斜め後方から見た様子。

 

 

 前面で面取りがされているのがわかります。

 

 

 後面も、前面と同様に面取りされています。

 

 

 これは真横からみた様子。

 

 

これは、正面から見た様子。

 

 

これは真上から見た様子。

 

 

 以下は更に倍率を上げたもので、これは正面。

 

 

 これが側面。

 

 

 正面 (左側の写真) と、側面 (右側の写真) を比較したものですが、前後方向が薄くなっているのがわかります。
正面からみると針先端部に変曲点があり(矢印部分)、左右chの音溝が90度になっていることを考慮すると、先端から矢印のあたりまでが音溝に接していると考えられます。

 

 カタログに拠れば、カートリッジの針先形状は「0.3 x 0.7 mil」で、「SI単位」に直すと「7.6μm (右側の写真) x 17.8μm (左側の写真)」ですので、概ね上記写真と合っているように思います。

 

 

 でも「面取り」しているということは、音溝と接触する部分の断面は、下図の左に示すような「楕円のような断面」ではなく、下図の右に示すような断面になっている気もします。
 そうは云っても、どこのメーカーのカートリッジでも、昔からこの形状が「楕円針」と称されてきたので、今更変えるわけにもいかないのでしょうかね?

 

 

 

 これは、動画で捉えたもの。

 

 実はこの針、「カートリッジケース (1) 」に述べた理由で、カンチレバーを折ってしまいました。
 この動画は「本体ごと交換後」に撮影したものですので、良~く見ると「針先が静止画のものは別のものに見える?」かもしれませんが、そこはご了解ください。時間のあるときに静止画のほうも差し替えます。

 

 

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 この針ですが、オーディオテクニカ製の「AT33EV」というカートリッジのもので、2008年に発売され現在も販売されています。スケールのないものは、デジカメで撮影したものです。

 

 

 これが裏面

 

 

 針先を拡大

 

 

 これは、カンチレバー全体にフォーカスが合う様、レンズ側から見て、カンチレバー全体が奥行き方向に等距離になるようにセッティングして撮影したものです。

 

 このカンチレバーは、ジュラルミン製で、先端に行くほど細くなるようなテーパーの入ったものです。

 あくまで「外から見えている部分での比較」ですが、このカンチレバーは他と比べると「長い」ように見えます。
 素人考えでも、理屈の上では「針からコイルまでの長さ」は短いほうが良いと思っていますが、本カートリッジの音に特に不満はありません。
 このカートリッジの場合は、先端を細くし針先を小さくすることによってカンチレバー先端部の重量を低減させ、音溝の変化に対する追従性を向上させようという意図かと推測します。

 

 

 これは、真横から見たところ。
 カートリッジ全体が水平になるような角度にセッティングして撮影しています。

 

 

 これは、針を取り付けた部分を拡大したもの。

 

 これも、カンチレバー先端を上下方向に潰した後、先端部を上方に折り曲げ、そこに穴を設け針を貫通させて透明な樹脂のようなもの?で固着しているようにみえます。

 

 

 

 「AT33EV」は、管理人が就職する前に使っていた「AT33E」(1980年代に発売) の流れを汲むもので、「EV」とは「Evolution (進化) 」のことのようです。

 

 「Since 1962」と書かれていますが、1962年はオーディオ・テクニカが創立し、最初の製品であるカートリッジ「AT-1」を発売した年です。

 また「AT33E」の「E」は、「Extra / Enhanced」といった意味ではなく、「Elliptical (楕円) 」の意味かと思います。
 「AT33E」の本体色は全面金色だったのに対し、「AT33EV」では側面が「エンジ色」に変わっていますが、大きさや形状は変わっていないように思います。
 ちなみに「AT33E」には、更にご先祖様がいるようで、それが「AT34」と思われ、「マグネシウム合金のヘッドハウジングとの一体構造」により、そのままトーンアームに取り付けられるものだったのですが、オーバーハング調整も出来たようで、その形状は今でも印象に残っています。
 その後「AT34EⅡ」にモデルチェンジされ、その単体モデルが「AT33E」なのでは?と思っています。

 

 「AT33」シリーズは、オーディオテクニカの看板商品のひとつなのでしょうね。
 「AT33EV」とは別に、「シバタ針」を使った「AT33Sa」、「モノラル」専用の「AT33MONO」、SPレコード専用の「AT-MONO3/SP」など、本体形状が似たいくつかのバリエーションが発売中です。

 管理人が学生の頃にお小遣いを貯めて購入した「AT33E」(オーディオテクニカさんのWebサイトに拠れば、1981年発売) が、改良されたり機種展開されながら、40年近く経った今も「生産が続けられている」のは、ちょっと嬉しく、管理人にとっては「特別な思い入れ」のあるカートリッジのひとつです。

 ロングランの「AT33 シリーズ」は、「丸針 (1) 」で紹介した「DL-103」とは、ちょっと異なる道を歩んでいますが、「生産を続けていられる」ということは、どちらも今も多くの「オーディオファン」の支持を得ているのでしょうね?

 

 

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 さて、このカートリッジには「PC-OCC (Pure Cupper Ohno Continuous Casting)」という線材が使われていて、ちなみに「Ohno」というのは開発者の「大野氏」のことです。

 

 管理人が持っている1989年7月のオーディオテクニカのカタログに拠れば、「PC-OCC」は、オーディオ・ビデオケーブルだけでなく、スピーカーケーブル / 電源ケーブル / MC昇圧トランスなどにも使われていましたが、2013年に古河電工が販売量の減少に拠り「製造終了」したため、現行品で「PC-OCC」を採用した製品を見ることは少なくなりました。
 カートリッジの場合、使う線材の量が少ないので、製造終了を前に「ラストオーダー」として購入した分で現在も賄えているのだと想像します。
 「製造終了」と聞いて、慌ててケーブル類を買った方、転売目的で買い占めた「転売ヤー」の方もいらっしゃったかもしれませんが、「カートリッジ」の場合は、全体の価格の中で「PC-OCC」の占める割合が低く「買い占め」の対象にはならなかったのでしょう。

 しかしながら、オーディオテクニカ社から2016年10月にニュースリリースされた「VM式カートリッジ」の新シリーズ「VM***」には、「PC-OCC」は使われていないようですので、「AT33EV」などのMCカートリッジも、いずれ「PC-OCC」を使わないものにモデルチェンジされるのでは?と思います。
 ちなみに、これより前の2016年6月にニュースリリースされた「AT-ART1000」は、「PC-OCC」採用のようで、オーディオテクニカさんでは、このあたりの時期が「PC-OCC」の「採用」「不採用」の分かれ目のようです。
 「PC-OCC」を使ったケーブルは、管理人は「ピンケーブル」を持っているだけですが、今後は中古市場以外に出回ることはないでしょうから、大事に使おうと思っています。
 「PC-OCC」を採用したことによる音質の変化が管理人に判るのか?というと「???」ですけどね.....

 

 「PC-OCC」に代わる線材としては「PC-Triple C (Pure Copper-Continuous Crystal Constructions) 」がありますが、「PC-Triple C」を使ったケーブルには「ちょっとしたオーディオ機器」が購入できるようなものもあります。
 でも、持っているオーディオ機器の大半が、「中古で1万~数万円で入手したもの」といった管理人には、ちょっと釣り合いませんね。
 ケーブルに凝る前に、もうちょっと良い機器を揃えましょうよ.....ってところでしょう (笑) 。 

 

 

 

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