潰れた波形

 もう10年以上も前の話ですが、あるCD (1999年10月にリリースされたものです) の12トラック目を聴いていたら、随分歪んだ音に聴こえました。

 

 レベルメーターの付いているCD-Recorderで再生してみると、「OVER」が頻繁に点灯します。

 

 

 

 さらにオシロで波形を見ると、下の写真に示すように波形が上と下で潰れています。(上がLch、下がRchです)
これがレコーディングエンジニアの意図した音だったのでしょうかね?
(前のページで説明したように、10対1のプローブが繋がれているものとオシロが判断していて、縦軸が20V/divになっていますが、実際は2V/divです。)

 

 

 

 下の波形は、1kHz/0dB (フルスケール) のテスト信号を再生したときの波形。
 CDの定格出力は2Vrms (実効値) ですので、ピークはその√2倍で±2.82V。これより大きい振幅は潰れてしまうわけですよね。

 

 

 

 高級なアンプでは、信号回路には余計なものを入れないというポリシーで「Tone Control / 音質調整」を付けていないものがありますが、こういったCDだと高域をちょっと下げて聴きたくはなりますので、自分が「最も好ましい」と思うように積極的に音質を調整して聴くのは「アリ」だと思っています。

 

 2000年代の前半に「Dolby ProLogic II」が登場し、2chの信号から5.1chのサラウンド信号を作り出すような信号処理が出来ていました。
 そこから10年以上経っているのですから、潰れた波形の前後から潰れた部分を計算して補正してくれるような信号処理は可能なのでは? サンプリング周波数を上げたり、量子化ビット数を増やすといったハイレゾ化の前に、こういうのを何とか出来る機器があるといいんだけど..... というのが管理人の個人的な思いですが、こういったCDを聴いたことのない方にとっては必要性を感じないのでしょうね。

 1999年10月に発売されたこのアルバム以外でも、このアーティストさんのアルバムには「OVER」が表示されたり、波形の潰れたものはありますが、上に紹介したものが一番顕著なものです。

 この曲自体は、好きな曲のひとつで、唄っている人 (女性の声優さんです) も好きなので、補正してくれるようなものがあるのであれば、それはもう、少々お高くても、直ぐにでも買いますが.....
 AI技術とかで、なんとかならないのかなぁ~~

 

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