CDが登場する前には、LPレコードにも高音質であることをセールスポイントにしたものがありました。
これは「リー・リトナー」他の演奏による「セッションII」(45RPM) で、「デジタルレコーディング」されたものです。(1979年3月録音、YAMAHA
YDD-7903、非売品)
ライナーノーツに拠れば、44.1kHz/14bitで録音されていて、22kHz以上は収録されませんが、当時はこれが最先端の録音方式と考えられていたようです。
CD登場以前ですから14bitが主流でしたが、管理人が聴いてダイナミックレンジの狭い音だとは感じられませんけどね。
22kHz以上が「ガクッ」と落ちているようには見えますが、CDのように「22kHz以上が殆ど出ていない」ようには見えませんね。
22kHz以上の信号は、録音したものをレコードにするまでの過程や、再生時のトラッキングエラーやカードリッジからが発生する「歪み」による高調波であって、デジタルレコーディングされた後の音楽成分ではないと思います。
高音質であることをセールスポイントにするLPレコードは他にも、CBS・ソニー (現在のSONYレコード) 、JVC、テイチク、ワーナーパイオニアなどから、76cm/sのマスターテープを使用したものや、デジタルレコーダーを使用したもの、ダイレクトカッティングしたものが発売され、管理人も何枚か持っています。
但し上記グラフで見たとき、デジタルレコーダーを使用したもの以外では、一般的なLPレコードと比べても今のところは差は見られません。F特よりはS/Nが向上するのでしょうね。
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最近中古レコード屋さんで見つけたのですが、この「セッションⅡ」には「ダイレクトディスク」(33rpm) というのもありました (YAMAHA
YDD-1117、こちらも非売品)。
録音時期は同じなので、「デジタル録音」と同時に「ダイレクトカッティング」も行われていたのだと考えます。
直接カッティングを行う「ダイレクトカッティング」というのは、録音機材を使わないので、「デジタル録音」よりも更にシンプルな手法となり、LPとしては最も音質が優れていることが期待できますが、演奏者全員が集まる必要がありますし、失敗すれば「一曲目からやり直し」でしょうから、「気の合った経験豊富な少人数による演奏」に限られたのだと思います。
マルチトラックレコーダーに収録したものからミックスダウンしたものを何度も何度も聴き直して、「より良いものに仕上げていく」ということも出来ませんしね。
こちらは、20kHz以上が切られているような特性にはなっていません。
耳の肥えていない管理人が聴いても、両者の違いは判りませんが、時間のあるときに、じっくりと聴き比べてみたいと思っています。
この「セッションⅡ」ですが、YAMAHAのカセットデッキ「K-1a」の購入特典で貰った「デモ用カセット」とあわせて3バージョン揃ってしまいました。
「デモ用カセット」には「驚異のディジタルレコーディング !!」と記載されていて、当時はこれが「最高の録音方法と考えられていたのでしょうね。
このカセットテープを貰ったときには、「デジタル録音されたもの」と思っていましたが、30年以上経って、「ダイレクトディスク」も存在していたことを知ったわけです。
オーディオ暦が長いと、昔のことについて「新しい発見」があることも、時々あります。