まとめ (2)

 ここでは、Webで見つけた日本照明工業会の情報を紹介します。

 日本照明工業会のサイトに「LED照明の生体安全性について ~ブルーライト(青色光)の正しい理解のために~ 」という資料が公開されています。
 それによれば、光が生体に与える影響というのは2つの種類があって、ひとつは「網膜傷害」などの「傷害」、もうひとつは「体内時計などに影響を与える」ような「障害」があるそうです。(それぞれで「しょう」の字が異なります)
 また、同じ強さの光でも波長によって影響を受ける度合いが異なり、「横軸を波長」「縦軸を影響を受ける度合い」としてグラフ化した「作用スペクトル」というものが「傷害」と「障害」それぞれで示されています。
 生体への影響は、この「作用スペクトル」×「光の強さ」×「時間」としています。

 その「作用スペクトル」ですが、
 網膜傷害などの「傷害」については、440nm付近がピークで、400nm付近や500nm付近では、ピーク値の1/10程度になっています。
 体内時計などに影響する「障害」の方は、465nm付近がピークで、410nm付近及び510nm付近でピーク値の1/2となっています。
(詳しくご覧になりたい方は、日本照明工業会のサイトにある「LED照明の生体安全性について ~ブルーライト(青色光)の正しい理解のために~ 」という資料をご覧ください。下のグラフは資料などから数字を読み取って作ったものです。そのままスキャンして使うと叱られるかもしれませんので.....)

 

 

 この「作用スペクトル」が「正しい」とすれば、「傷害」に関しては、「440nm付近の光を抑えることが有効」と考えることが出来ます。
 また「障害」という側面で考えた場合には、夜間はカットした方が良いのでしょうが、体内時計をリセットする意味で、日中はカットしないほうが良さそうです。

 

 日本照明工業会の言う「傷害」の「作用スペクトル」については、「IEC 62471」と、そのJIS版の「JIS C 7550」が元になっているようです。
 もう一方の「体内時計などに影響を与える障害」についての「作用スペクトル」については、メラトニンとうホルモン分泌の抑制度合を研究した論文に基づいているようです。
(繰り返しになりますが、詳しくご覧になりたい方は、日本照明工業会のサイトにある「LED照明の生体安全性について ~ブルーライト(青色光)の正しい理解のために~ 」という資料をご覧ください)

 これらは専門的知識 / 経験を持ったの多くの知見者によってレビューされていると思われますので、管理人のような素人が疑問を持つこと自体、馬鹿げているとは思いますが、どのようなプロセスで導かれたのかについては興味があって、他になにか資料がないか、あるいは上記資料の中で見落としていることがないか探しています。

 

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 最近見つけた資料に、HEV (High Energy Violetlight) という言葉を見つけました。これは青色光の中でも波長の短い400~420nmの光のことで、HEVをカットするメガネレンズというものがあるそうです。
 東海光学株式会社の「LUTINA」というメガネレンズのWebサイトで見つけたものですが、波長毎の透過率を示すこのグラフは、Webにあるグラフから数字を読み取って作ったもので、正確な図については、東海光学さんのサイトを参照ください。
 Webにあるものをそのまま貼り付けると問題かもしれませんので.....

 

 この製品では、400~420nmの光をカットすることが「眼を守るのに有効」と考えているわけで、先の保護フィルムメーカーの考え方と近く、日本照明工業会が言う440nm/460nmをピークとする「作用スペクトル」とは、やや異なった考え方のように思います。

 

 

 東海光学さんには、これ以外にも「Night Coat」というメガネレンズもあり、こちらは日本照明工業会の言う「障害」の「作用スペクトル」の高い「470nm付近の波長」の透過率を落とすような特性になっています。
(このグラフもWebにあるグラフから数字を読み取って作ったもので、正確な図については東海光学さんのサイトを参照ください。Webにあるものをそのまま貼り付けると問題かもしれませんので.....)

 

 「カット出来る」と言っても、約4割の低減ですので、貧乏な管理人には「画面を暗くするほうがコスパが良い?」とも思いますが、レンズメーカーとしては、そうはいかないのでしょうね?

 

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 ディスプレイのメーカーからは、Philips社の製品の一部に「ソフトブルー」という技術が採用されています。
 このメーカーでは「450nm以下の波長がダメージが大きい」と考えていて、詳しい仕組みは判りませんが (460nm付近の光が放出されるような条件で電子が励起されているのか、あるいは量子ドット技術で波長をシフトさせているものと推測しています) 、青色波長のピークを444nmから460nmにシフトさせていて、色温度を殆ど変えずに「ダメージが大きいとされる450nm以下の短波長青色光の影響を90%削減」とアピールされています。

 

 上の図は、メーカーのWebサイト上の図から数値を読み取って「だいたいこんな感じ?」といった図にしたもので、正確な図はPhilips社のサイトを参照ください。
 この図に拠れば、確かに450nm以下の短波長青色光については90%程度削減してるように見えます。

 「測定4 ブラウン管」のところで述べたように、光には「波」という性質と「粒子」という性質があって、後者の場合、粒子ひとつづつが、
 e = h (プランク定数) × ν (振動数、ローマ字の「ヴイ」ではなく、ギリシャ文字の「ニュー」です)
   = h (プランク定数) × c (光の速さ) / λ (波長)
のエネルギーを持っています。
 おそらくPhilipsでは、このエネルギーが波長短いほど大きくなることから、「450nm以下の短波長青色光を削減することが、眼を守るには有効」と考えているのかと思います。

 

 

 しかしながら、一番上に載せた日本照明工業会が言う440nm/465nmをピークとする「作用スペクトル」の図と合わせて見ると、450nm以上の青色光についてもブルーライトによる影響はあるように思えます (特に「障害の受け易さ」) 。
 ピーク波長を460nmにシフトしたことによって、ブルーライトによる影響を「90%削減」できるかどうかについては、意見の分かれるところかもしれません。

 

 

 

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