見づらい画面 (2)

 どうやってフリッカーを「見える化」しようかと考えていて「ヒント」になったのが、「ストロボ・スコープ」と呼ばれるもの。

 

 ベルトドライブ方式のレコードプレーヤーなどで、回転数を合わせるために使うものです。
  昔の蛍光灯は、電源周波数 (50Hzまたは60Hz) に同期して高速で点滅を繰り返していました。そこで蛍光灯が点灯してから次に点灯するまでに、縞模様が「ちょうど1つ分だけ」動いていれば、「縞模様が止まって見える」わけで、ターンテーブルを「33 1/3回転」あるいは「45回転」に精度良く調整できると、「止まって見える」ような間隔で縞模様が作られたものです。
 「33 1/3回転用」と「45回転用」の両方に、「50Hz用」と「60Hz用」が必要ですから、全部で4つの縞模様があるわけです。

 余談ですが、昔の時計やレコードプレーヤーなど、「回転速度がポイント」である電化製品は「50Hz地域用」と「60Hz地域用」があって、引っ越すと使えなくなる場合がありました。
 最近のものは切り替えスイッチがあったり、気にしなくても良い場合が多いかと思いますが、電子レンジなどでは、今でも「50Hz地域用」と「60Hz地域用」がある場合があるようです。

 

 

 回転数を調整するつまみの例です。

 

 

 

 止まって見えるときは、こんな見え方をします (シャッター速度1/2秒で撮影)
 一番外側の縞模様が、「33 1/3回転」「60Hz用」ですが、止まって見えます。

 

 

 

 回転スピードが合っていないときは、縞模様が動いて見えるので、シャッター速度「1/2秒」で撮影すれば、このように流れているように見えます。

 

 

 

 「ストロボ・スコープ」を使わなくても、プレーヤーにその機能を内蔵させているものもありました。

これも、「33 1/3回転」の「60Hz用」は止まって見えますが、他は流れて見えます。

 

 

 

 ベルトドライブのプレーヤーなどで回転数を正確に合わせるのに必要ですが、「ダイレクトドライブ・プレーヤー」で「クォーツ・ロック」されたプレーヤーなどでは必要ありません。

 

 

 なお最近の蛍光灯は、「フリッカー (ちらつき) 」を少なくするために、電源周波数よりも高速で点滅させています (インバーター制御) から、「ストロボ・スコープ」が使えません。

 

 

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 レコードプレーヤー用の「ストロボ・スコープ」では、「蛍光灯がフリッカーしている」ことを積極的に利用して、回転数を合わせようとするものでした。
 そこでちょっと発想を変え、スリットを設けた円盤を画面の前で適切な速度で回転させれば、
  1) スリットの奥にある画面が点灯しているときには、スリット部分が明るく見える。
  2) スリットの奥にある画面が消灯しているときには、スリット部分が暗く見える。
といった様子が撮れるのではないか?
 つまり、「フリッカーを捉えられるのでは?」と考えたわけです。

 

 黒い円盤を一定速度で回転させた状態で、デジタルカメラを「シャッタースピード固定」モードにして撮影すれば、どのくらいのスピードで明るさの変化が起きているのかが判りそうです。
 何度も何度も撮影すれば「タイミングよく撮れている」ことも期待できるわけですが、デジタルカメラならお財布も傷みません。

 

 フリッカーを捉えようとしたときに、フリッカーとは関係のない「オーディオ分野での経験」が着想のきっかけになったということですが、いろいろなものに関心を持っていると、たまには「良いこと」があるものです。

 

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