次に測定してみたのが、ブラウン管です。
あたりまえの結果とは思いますが、ブラウン管からも「ブルーライト」は出ています。
ブルーライトというのは、スマホなど最近登場した表示デバイスから出るようになったのではなく、昔からある表示デバイスからも出ているのです。
でも、昔はそういったことは問題視されていなかったように思いますが、それはスマホ等の普及により、「間近で長時間見続ける人が多くなった」ということと、昔よりも「画面が明るくなっている」ということなのでしょうかね。(この画面の明るさは153cd/m^2で、iPodに比べれば暗い画面です。)
「ブルーライト」が出ているといっても、分布の傾向には違いがあって、ピークは450nm付近でLEDと同様ですが、幅のある分布になっています。またLEDやCCFLではほとんど出ていなかった400nm以下の光も出ていることが判ります。
測定を行う前、管理人は「逆の結果」を予想していて、「ブラウン管など従来の表示デバイスには含まれていなかった波長の短い光が、ここ最近登場したLEDバックライトを用いたスマホなどから出ていて、それが問題になっているのか?」と考えたのですが、そういうことではないようですね。
ご存知の方も多いかと思いますが、光には「波」という性質と「粒子」という性質があって、後者の場合、粒子ひとつづつが、 e = hν のエネルギーを持っています。
ここで「h」はプランク定数といわれるもの、「ν」は振動数 (ローマ字の「ブイ」ではなくて、ギリシャ文字の「ニュー」です) で、振動数は「光の速度÷波長」ですので、波長の短い光ほど振動数は大きくなり、光の粒子ひとつひとつが持っているエネルギーが大きくなるということになります。
(管理人が記憶している範囲の記述に留めておきます。詳しくはYahooなどで調べてみてください。)
従って、「ある波長の強い光では起きなかったことが、それより短い波長の弱い光を長時間浴びることで起きる可能性はある」と管理人は考えています。
さて、同じくらいの明るさの画面が2つあったとして、一方は450nm付近に大きなピークを持った光、もう一方はそれよりも波長の短い400nm以下まで含まれた光、眼にとってどちらが「より有害」なのか、管理人が測定したデータの中に、その答えはありません。
素人考えでは、前者のほうが網膜の特定の深度域に集中してダメージを与えるような気もしますし、後者のほうが「網膜の、より奥の方」にまで達するような気もしますが、これについては、「まとめ
(2) 」のページで述べようと考えています。
「ブルーライト」といっても、最近の情報機器だけから出ている光ではなくて、「ブラウン管や各種の照明器具、太陽光にも含まれていて、そういったものにも注意が必要な場合はある」ということは、頭の隅っこに留めておいたほうがいいと管理人は考えています。
参考に、先ほど測定したブラウン管のR/G/B単色を表示させたときの分光輝度特性も載せておきます。これらは、あくまで一例であって、ひとつの製品においても、明るさやコントラストの設定によって全体の形は変わらなくても、絶対値は上下しますし、白バランスの設定によってR/G/B間のバランスは変わってきます。
これが「赤」
これが「緑」
これが「青」
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以下、余談です。
ブラウン管は今は1つしか持っていませんので、これしか測定できませんでしたが、使われている蛍光体によって分光特性に違いはあります。
違いが判りやすいと思っているのが「赤」の蛍光体で、小型で安価なテレビなどでは「赤」の蛍光体から黄色が強く出ていて「赤」が「柿色」っぽく見えるものがありました。
昔、日立のブラウン管カラーテレビには、「キドカラー」というネーミングがされていましたが、これは「赤」の蛍光体に希土類を使用することで、「赤」が綺麗に出ることをアピールしたものでした。