測定8 LED電球

 これは、LED電球と、従来型の白熱電球を比較したものです。

 きっかけは、たまたまLED電球を買ってきて取り替えた父親が「眩しいと感じた」と聞き、これもちょっと比較してみようと思いました。

 通常「電球を直接見つめ続ける」ということはしませんから、読書灯としての使用を想定し、電球の下に艶のない白い紙を置き、その分光放射輝度を測定しています。白い紙は電球の直下約70cmの場所に置き、紙を45度斜めに設置して、電球から紙への入射角と紙から計測器へのの反射角がいずれも約45度となるように、紙と計測器を配置して測定しています。

この様な方法で測定を行ったのには、他にも理由があって、それは、
(1) 白熱電球だと、フィラメントが透けて見える部分が他の部分より明るく、電球全体で明るさが一様でない。
(2) 電球の外郭で光を拡散していて、外郭全体で明るさが一様であったとしても、電球の大きさが異なる場合、直接測定すると小さい電球のほうが輝度が大きくなる。
ということで、一度拡散させた光を測定するようにしたわけです。

 

 まずは、白熱電球。40Wのもの。

 

 「熱放射」によって発光する白熱電球は、特定の波長にピークを持たず、スペクトルが連続していて、「赤」→「青」にいくにつれ、分光放射輝度が小さくなっていきます。ブルーライトは相対的に僅かしか出ていませんが、「皆無」というわけではありません。色温度は約2500Kでした。

 

 

 380nmから780nmの光が可視光線と呼ばれていますが、この中でも「ヒトの眼」にとって感度の高い光とそうでない光があり、それは550nm~560nm付近がピークになっていて、そこから短波長でも長波長でも感度は徐々に下がっていき、波長が380nm以下の光及び波長が780nm以上の光は、「ヒトの眼」には光として感じなくなります。この特性を「比視感度」といいます。

 

 白熱電球から多く出ている波長700nm以上の光は、「ヒトの眼」には光としては感じにくい光です。また、「ヒトの眼」には光として感じない波長780nm以上の光 (赤外線) もたくさん出ていて、消費電力が40Wといっても、かなりの部分が「光」ではなく「熱」になっているわけで、「電気エネルギーを光に変える効率」は、蛍光灯やLED電球と比べると低いので、「地球環境には優しくない照明器具」ということになります。

 

 

 次はLED電球で「電球色」というもの。赤っぽい白色です。色温度は約2700Kでした。
 縦軸については、上の「白熱電球」と揃えています。
 眼で見る限りは、「白熱電球」の色と似てはいますが、分光特性は大きく異なります。
 なお、これは「iPadを測定したページ」で紹介したような「高演色」タイプではなく、安価なものなので、R/G/B3つのピークがあるわけではなく、2つのピークを持っています。
 「電球40W相当」品ですが、赤外線は僅かしか出していないので、4.9Wの消費電力で「白熱電球40W」のものと同等の明るさを出せるわけです。

 

 

 

 これは「昼白色」といわれるLED電球で、これも「電球40W相当」のもの。
 上の「電球色」よりは、「赤」が抑えられ、「青」が伸びていて、「赤っぽい」という感じはしません。
 色温度は約4500Kでした。

 

 

 

 最後は、「昼光色」といわれるLED電球で、同じく「電球40W相当」のもの。
 更に「赤」が抑えられ、「青」が伸びています。色温度は約5600Kでした。

 

 上記の4つを重ねたものです。
 赤い線が「白熱電球」、緑の線が「電球色LED」、青い線が「昼白色LED」、黄色い線が「昼光色LED」です。
 「ブルーライトが多い少ない」という視点からみれば、白熱電球が眼に優しい光であり、LED電球であれば「電球色」を選べば、「昼白色」「昼光色」よりはブルーライトを抑えることが出来ます。
 なお、「高演色タイプ」と呼ばれるLED電球に関しては、「測定1 iPad (LED) 」の項で述べています。

 

 

 最近は、大手家電メーカーは白熱電球を作らなくなり、電気店に置かれていないことがあります。「単価が低く、売っても儲からないので扱わなくなった」ということなのでしょうね。
 でも管理人のように借家に住んでいて「ここには長く住まないかもしれない」場合には、元々備え付けで部屋に付いていた白熱電球が切れたときに、価格の高いLED電球に取り替えるのは、とても勿体無く感じる話で、100均で2コ¥108で売られている白熱電球を買ってきて付け替えています。

 年金で暮らしている高齢者の方にとっても、「LEDのほうが単価は高いですが、長寿命で低消費電力なので長期的に考えれば得ですよ!」と家電量販店の店員さんに勧められても、困惑されるのではと思います。管理人にも10数年で、そう感じる時が来ると思います。

 地球環境には優しくない「白熱電球」ですが、「初期投資」としては、おサイフに優しいので、世の中から完全に無くなってしまうと、とても困ります。
 「白熱電球」も選択肢のひとつとして、これからもずっと残っていてほしいですが、最近は100均で40W相当のLED電球が¥300で、60W相当のLED電球が¥400で購入できるようになり、白熱電球との価格差はかなり縮まってきました。

 

 電球の付いていた場所に付けられると云っても、「電球形」ではなく「ボール電球形蛍光ランプ」というのは、意匠性もあってか、消費税込みで¥1,000程度です。

 

 

 

 

 

 60W形の消費電力は12Wで、約80%の消費電力カットになりますので、白熱電球よりは「お高い」です。

 

 

 この蛍光ランプは定格寿命が6,000時間と表示されていますが、家で使っていても「16ヶ月強」使えていて、毎日12h使っていれば、12×30×16=5760h ≒ 6000hということで、表示に偽りは無さそうです。

 

 但し、LEDランプの低価格化が進み、今では\2,000程度出せば、同じ様な形状のLEDランプを買うことが出来、こちらは5年保証だったりしますから、次からはLEDランプでしょうかね?

 

 

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