これは、WindowsXPがリリースされた頃の外部液晶モニターで、CCFL (冷陰極管、Cold Cathode Fluorescent Lamp)
と呼ばれるバックライトを使っていると思われる画面です。
最初の測定ではコントラストと明るさは「最大」、色温度は「9300K」にしてあります。
分光特性の全体の形が、先ほどのLEDバックライトのものとは大きく形が異なることが判ります。
「青」のピークが動物の耳みたいに2つあり、ピーク値は「緑」や「赤」のピークより低いです。
しかしながら、青の光には幅があるので、青全体の明るさは「緑」や「赤」の明るさと釣り合っていて、全体としては白い画面です。
但し、こちらは画面の中心部の輝度が約120cd/m^2、先ほどのiPadでは約340cd/m^2あり、iPadの方が倍以上明るいです。また先のページでiPadの明るさ設定を約半分に落とした時の輝度が約140cd/m^2あり、それでもこの外部モニタより明るいわけです。
昔の製品より画面が明るくなって屋外でも見易くなり、これはこれで良いことなのでしょうが、その一方で「眼への影響」ということが問題になり始めているのかもしれません。
なお、バックライトにCCFLを用いている場合は、概ねこのような形になると思います。(LEDが登場する前のちょっと古めのもので、「LEDバックライト」と書かれていないものの多くは、CCFLだと思います)
人の眼というのは様々な色が混じっている場合、それが赤っぽいとか青っぽいということは認識できるのですが、どのような波長の光が混ざったものなのかは判らないのですね。
これが「赤」単色のときの分光特性です。
これが「緑」
これが「青」、2つのピーク波長は、LEDのピーク波長とは異なります。
545nm付近の「緑」の光ですが、このモニターは低く抑えられているほうで、安価なものでは、青と同じくらいのレベルになっているものもあります。
このディスプレイには「色温度切替」があったので、それを「9300K」から「5500K」にしてみました。そうすると画面全体がやや赤っぽくなるのですが、その分光特性を測定してみました。(縦方向のスケールは揃えてあります)
一番上の特性と比べると、赤が持ち上げられていて、青が抑えられていることが判ります。
これは、「9300K」と「5500K」の特性を重ねたもので、赤いほうが「9300K」、緑のほうが「5500K」です。
「ブルーライトを減らす方法のひとつ」として、色温度(「ホワイトバランス」とも言います)設定がある場合、これを色温度の低いほう(赤くなる方)に設定することも、有効であることが判ります。但しR/G/Bのバランスを変えていますので、写真を表示させたときの印象などは変わってきます。「色合い」を重視するような業務をされている方にはお勧めできませんね。
パソコン用のソフトやディスプレイの設定で「青信号」のレベルを減らすタイプの「ブルーライト軽減機能」というのは、これの可変範囲を広げ、「青をもっと下げられるようにしたもの」と理解しています。
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【蛍光灯との比較】
CCFLというのは、直管蛍光灯の更に細いもの (LOTTEのトッポみたいな感じ?、あるいはもっと細いのかもしれません)が、何本も平行に並べられたような状態をイメージすれば良いのだと理解しています。
ちなみに蛍光灯 (但し「3波長タイプ」と呼ばれているもの) の分光特性を測定したものを下に示します。
蛍光灯の光から画素ごとにフィルターでR/G/Bの色を作っているので、この特性と似たものになるのだと思います。
「3波長タイプ」と、わざわざ述べたいうことは、そうでない蛍光灯もあるわけで、最近は少なくなりましたが、以下のような分光特性を持ったものもありました。
「青」と「緑」の中間部分、「黄」から「赤」にかけての特性が大きく違っていて、これだと「フィルタを使って、効率よくR/G/Bの光を取り出す」といったことが出来ないのだろうと思います。
「3波長タイプ」という蛍光灯が出てきたのは、2000年頃だったのではないか?と記憶しています。
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液晶ディスプレイのように偏向板を用いている表示デバイスの場合、正面から見た映像はとても綺麗でも、斜め方向から見ると、暗くなるだけではなく、色が変わって見えるものがあります。
管理人が使っているのは「IPS方式」と呼ばれるタイプのもので、斜め方向から見ても、色の変化が少ないように思っています。