CDP-101 (続き)

 さて、肝心の「CDP-101」の音質ですが、そりゃぁ「1号機」で「デジタルフィルター」もありませんから、一般的によく言われる「硬い音」かと思われ、現在のプレーヤーの音には全く敵わないかと思います。

 

 D/Aコンバーターもひとつしかないので、高い周波数 (19,997Hz) の信号を再生すると、「Rch」 (下側の波形) が少し (約11.4μs) 遅れているのがわかります。

 

 今のCDプレーヤーに付いている「デジタル出力」でも、「Lch と Rch が別々」ではなく、1本の信号線で繋いでいるということは、L / R / L / R …… と、CDのサンプリング周波数「44.1kHz」の2倍の速度で交互に出力していると思われます。
 本機の内部でも、CDのサンプリング周波数「44.1kHz」の2倍の速度で「Lch」と「Rch」を交互にD/A変換しているのでしょう。
 「Lch」の音を約11.4μs遅らせて、「Rch」とタイミングを揃えるなんてことは、当時はコスト的に難しかったのでしょうね。

 

 遅れている時間から考えても、経年変化で「Rch」の音が遅れているということではないと思いますよ。

 

 

 これは「Lch」をX軸、「Rch」をY軸にして表示させた時の「リサージュ波形」です。
 「Lch」と「Rch」が完全に一致していれば、傾きが45度で原点を通る直線になる筈で、約11.4μsのズレなら低周波では「ほぼほぼ直線」なのですが.....

 

 

 高い周波数 (19,997Hz) の信号を再生した場合、約11.4μsのズレは「1/4波長分」に相当しますので直線になりません。

 

 ってゆーか、ほぼ「円」です。

 

 

 これは1kHzの矩形波を再生したとき。

 

 デジタルフィルターがないので、20kHz以上を急峻にカットする必要があり、その結果、1kHz矩形波に含まれる、3kHZ / 5kHz / 7kHz / 9kHz ..... といった高調波の「位相が進む」のが理由では?と思われます。
 音の世界では、波形が急激に変化する手前の「ヒゲ」は「プリエコー」、後の「ヒゲ」は「ポストエコー」とも云われるようですが、これは「プリエコー」は殆どなく、「ポストエコー」が多いですね。

 

 

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 ここからは、Marantzから発売されていた「CDR630」の 再生波形です。

 

 

 「CD-R」に録音出来る仕様ですから、「CDP-101」発売よりも15年くらい後の1990年代後半に発売された製品なのでしょう。

 

 

 まずは19,997Hz の再生波形ですが。Lch と Rch のタイミングは揃っています。 

 

 

 「Lch とRch の時間差」が無いので、19,997Hz の再生時のリサージュ波形も、見事に直線。

 

 

 これは1kHz矩形波の再生波形ですが、波形が急激に変化する手前の「プリエコー」と後の「ポストエコー」はほぼ同じ量で、「CDP-101」よりも少ないように見えます。

 

 「CDP-101」の発売から15年も経てば、こんなに進化するんですよ。

 

 

 でも、安心して下さい!  ( 何が????? )

 耳の肥えていない管理人が聴く限り、「CDP-101」の音に全く問題を感じません (笑) 。

 「Lch と Rch の時間差」とか「矩形波の応答」なんて、音を評価する指標のひとつに過ぎませんから、それが優れているからといって「音が良い」とは限りませんし、耳の肥えていない管理人の耳には違いなんて判らないんです。
 もし差を感じることが出来たとしても、「Lch と Rch の時間差」とか「矩形波の応答」によるものとは限らず、それ以外の要因で音が違って聴こえることも考えられます。

 

 「CDP-101」は、管理人にとって「最も記憶に残っているCDプレーヤー」ですから、「管理人が学校に通っていた頃に憧れていた製品が手元にあって、その音がいつでも聴ける」というだけで、「シアワセ」なんですよ。

 動かなくなっても、修理してくれる業者さんを気長に探すと思います。

 

 

 

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