UT47-MX770JW

 これは、HitachiのUT47-MX770JWで、Full-HDのIPS液晶パネルが使われています。

 

 モニター部とチューナー部が分離されていて、モニター部は、当時としては「画期的な薄さ」で、「UTシリーズ」として発売されていました。
 「UT」とは、「Ultra Thin (超薄) 」ということだと思うのですが、「Thin」と聞いて、すぐに「薄い」と判る方は多かったのでしょうかねぇ?「Ultra Slim (超スリム) 」のほうが判り易かったのでは?というのが、管理人個人の感想ですけど.....

 薄型TVとして2000年頃にプラズマTVが出てきた当初は、モニター部とチューナー部が別体で、その後一体化されていきましたが、一体化された後で、更に薄くすることを目的に「再度、別体化した」というものが本機でした。
 でも、ブルーレイレコーダーと組み合わせて使う場合、TV側のチューナーを使わない場合もあり、チューナー部を分離して薄くするのも「アリ」だったかと思います。
 モニター部を単体で使う場合には、HDMI入力とRGB入力が使え、チューナー部と組み合わせた場合には、HDMI端子 / D端子 / コンポジット端子が使え、モニター部とチューナー部はHDMIケーブル1本で繋ぎます。

 

 

 背面も白く、側面から見ると、この薄さです。
 今時の有機ELには負けますが、2008年製のTVにしては、十分に薄いと思いませんか?
 2008年時点で、有機ELを使った大型のTVはまだなく、SONYが11インチの「XEL-1」(¥200,000くらいしました) を発売しているだけでした。

 

 

 

 

 

 「白」というのも最近の製品では少ないと思いますが、「UTシリーズ」では、32インチには「黒 / 白 / 赤 / 青」のカラーバリエーションが、37 / 42 / 47インチには「黒 / 白」のバリエーションがあったと思います。
 「白いTV」は、置いておくだけでも部屋の雰囲気が明るくなると、管理人は思っています。
 本機種の機種名「UT47-MX770JW」の「W」は、おそらく「白」のことと思われ、同時期に発売されていた「黒」バージョンは、「UT47-MX770JB」という名称でした。

 

 ちなみに、世の中の主流が「ブラウン管」から「プラズマTV / 液晶TV」へ変わろうとしている頃、管理人は海外に赴任中で、日本に一時帰国したときには、一泊¥10,000未満のビジネスホテルに泊まっていました。
 そこで、部屋にある14インチのブラウン管TVが液晶TVに変わったときには、部屋がちょっと広くなったように感じました。
 その頃の液晶TVの画質はともかく、「ブラウン管TVに比べると大幅に薄くなったTV」というのは、「白黒」が「カラー」に変ったのに次ぐ「とても判り易い、大きな進化」だったのでは?と思います。

 「UTシリーズ」の場合、当時発売されていた、他のプラズマTVや液晶TVよりも薄くなってはいますが、一般的な液晶TVの倍近い価格でしたので、「ブラウン管 」から「プラズマTV / 液晶TV」 に変わるとき程のインパクトはなく、それだけのお金を払う人は多くなかったのかと思います。
 管理人は「UT47-MX770JW」を、とても新品では購入できず、ヤフオクで5万円くらいで入手しています。

 今時のTVのように「4K」ではありませんが、裸眼で0.7以下の視力しかない管理人の場合、通常の試聴距離では「Full-HD」の解像度が見えていませんので、これで足りているわけです。
 メガネを掛けると「クッキリ」見えることは判っているのですが、手元がぼやけるので使いません。メガネを使うのは、車を運転するときと、「ゆかりん」とかのライブに行くときだけですね (笑) 。

 

 当時としては革新的に薄くしているので、細かいことを言えば「画面左右端が黄色っぽい」とか、画面全体が白いときに、白ムラ (画面の一部が黄色く見えたりすること) が容易に判りますが、5万円程度で入手していますのでね..... (発売当時は、その10倍くらいの値段だったと思います)

 

 これは、電源をオンした直後の写真。「白画面」を表示させると、白ムラがあることが判ります。
 なぜ「白ムラ」が起きるかというと、R/G/Bの明るさのバランスが取れていないということで、R/G/B単色を表示させたときの「明るさのムラ」よりも、「白」を表示させたときの「白ムラ」のほうが検知しやすいようです。

 

 

 10分程経過すると、内部の蛍光管が暖まってきて、「白ムラ」はかなり少なくなりますが、画面左右端がやや暗くて黄色っぽいのは残っています。
 冬になって、雪景色が映った画面では、部分的に雪が黄色っぽく見えるのが判ります。

 

 どんな電化製品でも、電源を入れた直後は製品の内部温度が低く、内部温度が飽和するまでには2~4時間要すると考えられます。
 通常は内部温度が飽和したあたりで、最も性能が出るように調整されていると思いますので、こういったことが「大なり小なり起きる」ことはやむを得ませんけどね。
 当時 (2007年頃) としては、かなり頑張って薄くしたのだと思います。
 現在発売されているTVでは、「冷え切った状態 → 内部温度上昇が飽和した状態」での性能の変化はもっと抑えらえているかと思いますが、こういった現象は店頭では確認しにくいと思います。

 さて、最近のTVは狭額 (画面の周辺部の幅が狭い) に設計されたものが多く、「今お使いのTVが置いてあるスペースに、1~2ランク上のサイズのTVが置けますよ」というのがアピールポイントの一つになっています。
 でも、狭額だと、どのメーカーのTVも、スタンド部分以外には殆ど違いを見つけられませんよね?
 最近のTVには「意匠」というものが殆ど無くなってしまった様な気がしますが、当時このTVには、他のTVとは異なる「見た目の特徴」があったと思います。

 HitachiのTVは、過去には王貞治氏などがCMに起用され、日本のTVメーカーの一翼を担っていて、過去には欧州やアジア、北米にもTVを生産する工場があったんですよ。
 2012年頃までは「ビックカメラ」などの量販店にも置かれていましたが、その後は日立の特約店にしか置かれなくなったようで、この頃には自社生産は止めていてOEM購入していたと思われますが、更に2018年9月には自社ブランドテレビの国内販売からも撤退したそうです。
 でも、冷蔵庫や洗濯機、エアコン、電子レンジなどを販売していて「テレビが無い」のは、進学とか就職/転勤/結婚で新生活を始めようとする方々に売り込む時に「営業的には困る」のでしょうかね?
 やっぱり「テレビ」って「家電製品の顔」なんですよ。
 そういう理由かどうかは判りませんが、日立の系列店「日立チエーンストール」では、ソニーの「ブラビア」ブランドのテレビを販売するようです。
 どのメーカーでも製品ラインナップを埋めるために他社からOEM購入することはあると思いますが、今回、日立が「SONY」を選んだのは、管理人にとっては、ちょっと「驚き」でした。
 でも「白物家電」をやっていない「SONY」だからこそ、競合することなく、互いにうまく補完できて「Win - Win」になるのでは?と考えたのかもしれません。
 なお管理人の場合、10年以上前に発売された、ブラウン管の「BVM-D24E1WJ」や、有機ELの「XEL-1」を今も使っていて、SONY製の映像表示機器にはお世話になっています。

 日立にとってTV事業は、韓国メーカーなどとの価格競争により「赤字事業」になってしまったので、自社開発からは撤退、他社からのOEM購入に切り替え、更には自社ブランドテレビの撤退になったと思われますが、ちょっと寂しさを感じますね。

 

 

 

 これは、2002年製の37インチのプラズマTV。

 

 

 この頃は、TV向けとしては比較的口径の大きなスピーカーが左右両袖に正面を向いて付いていたものが多く、最近の製品よりは良好な音が出ていたように思いますし、意匠については、メーカーによっていろいろと工夫を凝らしていたり、独自性を出していたように思います。

 現在は、画面の大きさが、ほぼ「製品の大きさ」になっていて、スピーカーは小さなものが使われたり、背面に配置されるなどし、それを補うための様々な工夫がされてはいますが、「前面に口径の大きなスピーカーを配置する」という正攻法には敵わないのでは?と管理人は思っています。

 

 

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