白ツブレのこと

 あるブルーレイソフトを見ていたら、なんだか白が潰れているように思えました。
 

 以下のような接続で観ていたのですが.....

 

 

 これは、「BVM-D24E1WJ」の画面の一部ですが、「やや白が潰れて」見え、「BRIGHT」や「CONTRAST」をいくら絞っても改善されません。

 

 

 一方こちらは、「UT47-MX770JW」の画面。
 上の画面では見えなかった、細かいしわが見えます。

 

 シーンによっては、「UT47-MX770JW」でも潰れて見える場合もありますが、それは「円盤に収録された信号自体が既に潰れて収録されているのだろう」と考えます。
 しかしながら、一方では「見えている」のに、もう一方では「見えていない」というのは、「円盤に収録された信号の問題ではない」と考えられます。

 このブルーレイソフトを持っている方が見れば、直ぐに判ってしまうと思いますが、竹達彩奈さんの「Lyrical Concerto」というライブ映像です。(PONY CANYON PCXP-50500)
 お顔は映っていませんし、コンテンツを持っている方以外には「何が映っているのか判らない」ような画ですので (ステージ衣装の一部分です) 、著作権/肖像権的には許容してもらえるのでは..... と思いますがどうでしょうか?
 

 

 

 

 さて、「白つぶれ」の原因をいろいろ調べてみたのですが、どうやら「100%白」以上の白が含まれていて、管理人が使っている「HDMI ⇒ コンポーネント変換器」が、それに対応していなくて、「100%白」を越えた部分の階調が表現されなかったということのようです。
(2000年頃発売になった「BVM-D24E1WJ」には、HDMI入力が無いのです.....)

 2009年に「Stereo Sound」社から発売されていた、「Super HiVi CAST」に、80% / 90% / 95% / 100% / 107%と「5段階の白」が収録され、「107%白」の部分に「100%程度の明るさ」で文字が描かれているパターンがあります。

 

 パターンを画面に出したものを撮影したほうが伝わりやすいのですが、「著作権的によろしくなさそう」ですので、ここでは似たようなものを作っています。

 

 

 これを入力したときの「HDMI ⇒ コンポーネント変換器」の輝度信号出力をみると、以下のように「4段階の白」しかなく、100%以上が潰れていることが判ります。(75Ωで終端して、H周期で観測しています。)
 この状態では、画面中央の文字は見えません。

 

 この波形、更に波形全体の振幅が小さく、同期の先端から輝度信号のmax部分までが0.7Vp-pくらいで、本来なら1Vp-p程度 (画面上で5div) あるはずです。
 縦軸が「2V/div」と表示されているのは、オシロが壊れていて「10:1のプローブが繋がっている」と認識しているためで、実際は「0.2V/div」です。

 

 

 

 

 管理人が持っている「別のブルーレイレコーダー」は、2011年以前に発売されたもので、コンポーネント映像出力からもHD信号が出力されますので、それで再生した信号を見ると、このように見えます。

 

 これは、80% / 90% / 95% / 100% / 107%の「5段階の白」があり、「107%白」の部分に「100%程度の明るさ」で描かれているパターンがあることが、波形上でも確認できます。
 同期信号の先端から「100%白」まで部分が「1Vp-p」で、「107%白」の部分は、「1Vp-p」を超えています。 

 

 

 

 これは、ビデオ信号発生器の「100%白」を1080iのフォーマットで出力した波形です。
 映像信号部分の振幅は0.7Vp-p、3値同期信号の振幅は±0.3V、全体の振幅は1Vp-pで、「規格内の信号」というものは、こうなのでしょう。

 

 この信号発生器ですが、ヤフオクで「¥10,000」で入手したもので、元の値段の1/300以下でして、管理人にとっては「¥10,000にしては、遊び甲斐のあるオモチャ」です \(^o^)/

 

 

 こちらは、映像信号のレベルをMAX (109%) まで上げたときで、映像信号部分の振幅は、0.7 × 1.09 = 0.763V。

 

 

 

 これは、竹達彩奈さんの「Lyrical Concerto」というライブ映像の波形ですが、信号全体の振幅が1Vp-pを超えることがあります。
(2011年以前に発売された「コンポーネント映像出力からもHD信号が出力される」ブルーレイレコーダーを使っています。)

 

 この波形のHDMI信号を、管理人が持っている「HDMI ⇒ コンポーネント変換器」で変換すると、1Vp-pを超えた部分が潰れてしまうものと考えます。
 あ、こういった波形を見ると、映像信号波形を見るのであれば、やっぱり「エイリアシングの発生しない、アナログオシロだよね~」なんて思いますね。 

 

 

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 「白ツブレ」が、テストディスクだけで発生するのであれば、「100%を超えるような信号は規格外なので、実用上は問題ない」と言えるのですが、市販されている音楽ソフトでも発生しているのですから、ちょっと困りました。
 「コンポーネント映像出力からもHD信号が出力される」古いブルーレイレコーダーであれば、HDMI端子の無い「BVM-D24E1WJ」でも問題なく観られますが、色々録画されている新しい方のレコーダーも捨て難いです。

 100%以上の信号にも対応していると明記された「HDMI ⇒ コンポーネント変換器」というのも見つかりませんでしたので、「どうしたものか?」と思っていたところ、レコーダーの設定メニューの中に「映像設定」⇒「HDMI映像出力フォーマット出力設定」があり、そこを「自動」から「RGB (16 - 235) 」に変更したところ、信号がやや小さくなったために、「HDMI ⇒ コンポーネント変換器」の出力波形の白ツブレは解消できました。

 波形は下の写真に示すような感じで、ちゃんと「5段階の白」が表現されるようになり、「107%白」の部分に「100%程度の明るさ」で書かれた文字も見えるようになりました。

 

 

 

 

 云うまでもないことですが、テストディスクにあった「白ツブレ」を解消させるのではなく、竹達彩奈さんの「Lyrical Concerto」というライブ映像で見える「白ツブレ」を解消させるのが「真の目的」ですよ。
 ダイナミックレンジが若干低下していて、色調がやや異なっているのかもしれませんが、管理人にとっては「白が潰れている画」よりは良いと思っています。

 フィルムで撮影したような雰囲気に仕上げたライブ映像が多い中、このソフトはビデオっぽく仕上げているので、「会場で観ている様な気がする」と感じていて、管理人にとっては「リファレンスディスク」のひとつです。
 「プロモーション・ビデオ」や「映画」の場合、「今」ではない時間、「ここ」ではない場所、といった「非日常感」を演出するためには、「フィルム」で撮影したように仕上げたほうが良いと思います。
 一方「ライブ映像」の場合、「ビデオっぽく」仕上げたものを「大きな画面」とか、ちょいちょい「ハイファイ」な高音質で見ていると「今そこに、自分もいる」ような気がしますが、「フィルムっぽく」仕上げられた「ライブ映像」では、どれだけ画面が大きくて高音質でも「過去に収録されたものを見ている気がする」と管理人は思っています。

 さて「あやち」さん、30際のお誕生日を迎えた2019/06/23に結婚発表されたそうですね。もちろん「ご結婚おめでとうございます」なのですが、今後のアーティスト活動の方向性が変わっていくカモですので、多数の「あやちにゃんみん」が出るような.....

 「フィルムっぽい」と「ビデオっぽい」の違いですが、「何それ?」と思われる方もいらっしゃいますかね?
 TVを見ていると、ニュースや天気予報、ワイドショー、スポーツ中継、テレビショッピングの番組などは「ビデオっぽい」仕上げで、日頃我々が自分の眼で実物を見ているような見え方をする一方、CMや映画は「フィルムっぽい」仕上げで、そこに実物があるようには感じません。(「多くは」ということで、もちろん例外もありますよ)

 「フィルムっぽく」見えるものは、TVが登場する前からあった映画に使っていた「フィルム」の特性に起因するもので、「ビデオ」っぽく見えるものは、TV放送が始まったときの「撮像管」+「ブラウン管」の特性に起因するのだろうと考えています (難解な言葉で云うと「ガンマ特性」) 。

 

 

 さて、このレコーダーメーカー (「SONY」さんです) は、こういった「白ツブレ」が起こりえることも考えていて、「HDMI映像出力フォーマット出力設定」という機能を持たせているのでは?と推測しています。
 メーカーによっては、そういった設定が無いものもあるかとは思いますけどね.....
 なお「HDMI ⇒ コンポーネント変換器」以外に、AVアンプでHDMI信号を変換している場合などでも、同様の現象が起きることがあるかもしれません。

 

 

 以上、たまたま購入した映像ソフトに「100%以上の輝度信号」が含まれていて、それを2台のモニターで見比べていたときに、「偶然見つけた」事象でした。
 そんなに多くの「ブルーレイソフト」を持っているわけではない管理人に、「100%白以上が収録されたソフトを見つけられた」ということは、こういったソフトは世の中には結構あるのではないか?と思います。

 「基準から外れている」というのは良くある話で、例えばTVが「アナログ放送」の頃、映像や音声の変調度、同期信号の振幅などについて、基準を外れて放送されている場合がありました。
 昔、管理人がTVの品質保証部門にいた頃には、そういった信号を受信して何か不具合現象が起きることも経験しましたが、「信号が基準から外れているから」という理由でお許し頂けるとは限らず、「従来機種は問題ない」「他社製品は問題ない」といった場合には、「対応せざるを得ない」ということもありました。

 

 また「Deviation Meter」の付いたチューナーでFM放送を受信すると判りますが、メーターが100% (75kHz) を超えることは、よくあることです。

 

 

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