SRP-CT1

 SONYの業務用カセットデッキ「SRP-CT1」です。

 

 SONYのカセットデッキといったら、「TC- なんちゃら かんちゃら」とか「TC-K なんちゃら かんちゃら」なのですが、業務用の本機は、それらとは全く異なる機種名です。

 オーディオ暦の長い方なら、例えば「NS - xxxx」なら「YAMAHAのスピーカー」、「AU - xxxx」なら「SAUSUIのプリメイン」、「KT - xxxx」なら「TRIOのチューナ」といった具合に、機種名を聞いただけで「どのメーカーのどんなジャンルの製品」か判ったりするものです。
 これは全然SONYのカセットデッキっぽくない機種名で、「どこの何?」って感じですが、過去には「SMP」(SONY MAGNETIC PRODUCTS) という会社もあったようですから、「SRP」とは SONY RECORDING PRODUCTS を意味するのかもしれません。
 ちなみにSONYの法人向けの製品には、デジタルパワードミキサー「SRP-X5000P」という機種があり、過去にはWカセットデッキの「SRP-CT3W」という機種があったようです。

 なおSONYの民生向けのカセットデッキで、ラックにマウントできるのは、管理人が知る限り1970年代後半に発売された「TC-K2 / K3 / K4 / K5」か、高級機の「TC-K88」しかなかったように思います。

 

 

 このボタンの配列からすれば、「TC-K555ESX」とか「TC-K555ESR」と同じ頃 (1980年代後半) に発売されていたものと思われます。 

 

 出品者さんに拠れば、当時は定価「¥120,000」だったそうで、「TC-K777シリーズ」と「TC-K555シリーズ」の間の価格帯の製品だったのでしょうかね?

 

 

 高級カセットデッキにも見えますが、本機は「3ヘッド機」でも「クローズドループ・デュアルキャプスタン」でもなく、バイアスの微調整もありません。

 

 

 「ダイレクトドライブ」と「3モーター」がアピールポイントで、業務用機ですから、「テープの性能を極限まで引き出すこと」よりも、長時間の連続使用を考慮した「耐久性」や「堅牢性」がウリだったように思います。

 

 

 この頃のSONYのカセットデッキでは、テープセレクターが自動化されていますが、「TYPE III」(フェリクローム) には対応していません。

 

 

 

 

 赤の点線は、「これ以上は歪みますよ」という表示かと思われますが、メタルテープを検出すると4dBUPします。

 

 

 下の写真では、奥から「TYPE I」(Normal)、「TYPE II」(ハイポジ)、「TYPE IV」(Metal) ですが.....

 

 誤消去防止の爪の内側に穴が開いていなければ「TYPE I」、開いていれば「TYPE II」、更に上面中央部に穴が開いていれば「TYPE IV」と認識します。

 

 

 但し、初期のメタルテープには、上面中央部に穴が開いていないものがあり、それは「TYPE II」と認識します。
 (なお、このテープは誤消去防止の爪が折られています。)

 

 

 フェリクロームテープ (TYPE III) は、Normal(TYPE I) と認識されますが、メタルテープ (TYPE IV) の登場後はフェリクロームテープは陰が薄くなってしまった?ので、問題はなかったのでしょうね。

 

 

 

 フロントパネルの右下には「ピッチコントロール」が付いています。

 

 「ピッチコントロール」が付いたカセットデッキは多くはなく、あっても半音程度 (±5%) の可変幅だったかと思いますが、本機では「-15% ~ +20%」の可変幅があり、業務用途ではこういったニーズもあったのでしょうかね。

 

 

 これが背面。

 

 

 本機にはワイヤレスリモコンの受光部は無いようで、その代わりに有線でのコントロール端子があります。

 

 「PIO」とは、「Peripheral IN OUT」って意味なのかしらん?と思いますが、複数台をラックに収納して、離れたところから個別にコントロール出来るようなシステムを構築出来たのでしょうね。

 

 

 「SRP-CT1」というのが機種名なのですが、これと外観がよく似た「MU-D100」という機種もありました。 

 

 外観の違いですが、ひとつは「MU-D100」には、EJECTボタンの下部に累積の通電時間が判る「アワーズメーター」があったこと、もうひとつは、本機の前面パネルの中央部は濃い目のグレーですが、「MU-D100」は、ちょっとグリーンっぽい明るいグレーだったように思います。

 

 

 また本機種では入出力ともバランス接続できますが、「MU-D100」は出力だけがバランス接続できたようです。

 

 これだけ似ていれば、どちらかは「なんとか マークII」という機種名で良かったのでは?と思いますが、機種名がまるっきり違うということは、販路が全然別だったのですかね?
 でも開発部門は同じだったように思います。

 

 

 

 本個体では、脚を外されているようです。

 

 ラックに収める場合、隙間無く収めようとすると、脚が邪魔になる場合がありますからね。

 

 本個体も、ラックに収められネジで固定されていた?と思われる痕跡があります。

 

 

 市販の脚を取り付けました。

 

 ちなみにこの脚、タカチ電機工業さんの「RS型化粧ゴム足 RS-60S」というもので、直径が60mmあり、Amazonさんで購入したものですが、4個セットで ¥572 で送料無料でした。(脚を取り付けるためのネジ類は別途用意)

 

 

 これで「TC-K555ESX」や「TC-K555ESR」が発売されていた頃のカセットデッキっぽくなり、なかなかコスパの良い脚かと思います。 (あ、もちろん「個人の感想」ですよ)
 なお「脚を付けたことによる音の変化」については、管理人には判りません (笑) 。

 

 脚が「やや内側」に付いているようにも見えますが、本機はこのままラックにマウントできるタイプですので、横幅が482mmあり、SONYの一般的なコンポーネントよりも左右に26mmずつ大きいんです。

 

 

 本機ですが、「ソニー株式会社」扱いの製品ではなく、「ソニーサウンドテック株式会社」が扱っていたようです。

 

 販路が違うだけで、設計/開発は「ソニー株式会社」で行われていたと思いますけどね。

 

 

 ちなみに別のページで紹介している「TC-K8B」では、銘板には「ソニー株式会社」と記載されています。

 

 

 

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