HD 414

 最初に紹介するのは、ドイツのゼンハイザー社のヘッドホン、HD 414です。

 

 黄色い部分はスポンジです。知っている人には、遠くから見ても、すぐに「あれだ」と判る外観かと思います。
 世界初のオープンエアタイプのヘッドホンとして知られていますが、管理人が知る限り、このヘッドホンには3つのバリエーションがあり、初期型(写真右上)は1960年代に発売されました。当初は本体色がアイボリーで、その後HD 414X (写真中央) となり黒色に、その後またHD 414 (写真左下) という名称になっています。
 なお、HD414SLという製品もありましたが、こちらは外観の異なる製品でした。当時はドイツが東西に別れていて「西ドイツ」と呼んでいました。

 管理人が学生だった頃、学校帰りに寄ったオーディオ店でこのヘッドホンを初めて見ました。
 そこにあったHD 414は、本体がアイボリー、イヤーパッドが青色で、「おもちゃ」の様に見えたのですが、聴いてみるとビックリ!、でも「高いなぁ~」と思っていました。(¥15,000程度したように記憶しています)。

 その後、当時大流行していた Yellow Magic Orchestra の坂本龍一氏がライブで使っているのをNHKで見て(このときは本体色が黒、イヤーパッドが黄でした)、受験直前のお正月 (1981年) に、大須の「アメ横」まで出掛けて、貯めていたお年玉で買ったのを今でも覚えています。
 ちなみに、このヘッドホンで最初に聴いた曲は、FM放送から録音した、松田聖子さんの「Cherry Blossam」(1981年1月発売) だったかと思います。

 HD 414のイヤーパッドですが、管理人が知る限り、昔はグレー、青色、オレンジがあったようで、後に黄色だけになったみたいです。

 初期型は「装着したときの側圧がやや強くて、高域が落ち気味」、2代目から側圧が弱くなって「高域が上がり気味」、3代目が最終形ということもあってか、3つのバリエーションの中では最もフラットに近い気がします。再生帯域幅は今日の製品には及ばないと思いますが、「人の声」の帯域はしっかり出ていると思います。

 このヘッドホンは、掛けたときの開放感が好きなのですが、開放的ということは「音漏れも大きい」わけですから、周囲への気配りはお忘れなく。
 重量は初代と2代目がケーブルなしで約130g、3代目ではケーブルなしで約70gと大幅に軽量化されています。

 

 イヤーパッドは外して洗えますが、長く使っていれば汚れてきますし、2~3年すればボロボロになります。でも、なんと!、今でも「新品」が入手できます(黄色のみ、税込¥1,080)。

 

 

 ですので、以下のように着色して「失敗した!?」と思っても、また買ってくれば元通りです。こんなことしたら大きく音が変わってしまうかも?と思っていましたが、意外と判りません (^_^);;

 

 

 

 純正のケーブルは屋外で使うには長すぎるので、短くして先に3.5mmのステレオミニプラグを付け、Bluetoothレシーバーと組み合わせてiPhoneとペアリングさせて使っています。イヤーパッドが入手できる限りは、使い続けていきたいと思っています。

 3.5mmのミニプラグですが、オヤイデ電気製の「P-3.5 SRL」を使っています。音質がどうということではなく、それまで使っていた3.5mmミニステレオプラグだと接触不良が起きていたみたいで、時々片chが出なかったり、差し込んだ状態でプラグを回すと「ガリガリ」音がしていたのですが、オヤイデ電気製のプラグに交換してからは、そういった問題が嘘みたいにすっかり無くなり、「ええっ!?」と思ったものです。

 使っているケーブルの特性というのも重要なのでしょうが、端子の表面の仕上げで「ビミョーではなく、明らかな」差が生じることもあるんだな、と感じました。
 こういった場合には、「端子にお金 (¥1,100) を掛けて正解だった」と思います。

 

 最近ですが、「青色」のイヤーパッドを入手しました。
 ヤフオクに出品されていたもので、ゼンハイザー純正品ではないのですが、ヨーロッパに出張されていたときに見つけたもの、とのこと。
 純正品と比べると角が丸みを帯びていますが、30年以上前に管理人が初めて見たHD 414は、こんな色だったように思っていましたが.....

 

 

 「とある機器」の「丸くて青いもの」を見たときに「あれ?こんな色だったカモ?」と思い、レタッチしてみました。

 

 

 「青」と云っても「青空に近い色」だったように思います。

 

 

 さて、今時ライブステージに立つアーティストの方は、「目立たない」「激しく動いても外れにくい」というメリットのあるイヤホン型でモニターしている方が多く、それを見た方が「あの人が使っている」という理由から「イヤホン型」の高価なもの (更には、自分の耳の形に合わせてカスタマイズしてもらえるものもあります。高価です.....) を購入される方もいらっしゃるようです。
 でも管理人が思うには、イヤホン型で聴くと、各楽器の音が左右の耳を結ぶ一直線上だけに定位し、前後/上下方向の広がりが全く無いように感じられます。
 そういった音を正確な音と考え、好まれる方もいらっしゃるとは思いますけど....

 

 

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 さて、「HD 414」の初期型は「装着したときの側圧がやや強くて、高域が落ち気味」だったのですが、改善させることが出来ましたぁ~~ \(^_^)/
 その方法はこんな感じです。

 

 内側にピアノ線を取り付けました。

 

 

 東急ハンズで「1.5mmΦ」のピアノ線 (税込¥388) を購入、適切な長さ (40cm弱) に切って.....

 

 

 あ、でも「1.5mmΦ」のピアノ線を切断するには、それなりの道具が必要ですよ。

 

 

 左右のこの穴にピアノ線を挿入して、左右両端と上面をテープで固定。

 

 何が良くなったのかと言うと、まず側圧が低下したので、長時間装着したときに耳が痛くなるのが軽減されました。
 さらに、パッドを強く押し付けることによる高域の低下が軽減され「一石二鳥」です。
 以前から、装着時に両方のユニットを「やや外側方向」に引っ張ると、高域の低下が改善されるのは感じていたのですが、ピアノ線追加で同様の効果が得られるようになり「常時引っ張り続ける」必要は無くなりました。
 「電気的な改善策」ではなく、まさかの「機械的な改善策」ですが、初代の「HD 414」に関しては、「ケーブルを付け替えるよりは、コスパの良い音質改善策 (税込¥388) では?」と、管理人は思っています。

 但し、「1.5mmΦのピアノ線が、管理人にとって丁度良い」ことに辿り着くまでに、別の部材でも試していますし、電車賃も必要でしたので、ホントは「もうちょっと」コストが掛かっています。

 

 ま、初代の「HD 414」に手を加えようとする人なんて、今時いないと思いますし、最終型の「HD 414」の音には敵いませんけど、この白いヘッドホンは、管理人が好きなヘッドホンのひとつで「手放せない」のです.....

 

 

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 さて、このヘッドホンですが、ちょっと初代の「HD 414」っぽいと思いませんか?

 

 本体色が「白」で、イヤーパッドが「黄」ですが、これはスウエーデンの「COLOUD」社のヘッドホンで、「COLOUD KNOCK Blocks」というモデル。
 いくつかのカラーバリーエーションがあり、本体色が「白」のヘッドホンには「赤」のイヤーパッドが、本体色が「オレンジ」のヘッドホンには「黄」のイヤーパッドが付いていたと記憶しています。
 このヘッドホンは、それを組み合わせたものなんですが、「HD 414」っぽく、管理人は気に入っていて、音も「どこまでもフラットな、ワイドレンジ」といった音ではありませんが、「人の声」の帯域はちゃんと再生していて、「長時間聴いても疲れない音」と感じています。
 ケーブルを除いた本体部分の重量も「約70g」と軽く、耳にスポンジが当たる着け心地も「HD 414」っぽくて、気に入っています。

 

 

 「4極プラグ」になっていて、リモコンが付いています。

 

 「△のボタン」を1回押す毎に「PLAY / PAUSE」を切り替えられ、2回押すと「次の曲」、3回押すと「前の曲」に飛べます。
 このあたりは、「最近登場したヘッドホン」の特徴で、「HD 414」には真似出来ません。

 

 

 「Lch側」のケーブルの、このあたりに「リモコン」が付いています。

 

 「HD 414」みたいに、イヤーパッドが容易に入手できたら、「言うことなし」なんですけど.....

 

 

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