TC-R7-2

 SONYのオープンリールデッキです。1970年代の製品です。
 機種名の「-2」とは、Mark II の意味ではなく、「2トラック」を表すものと思われます。
 高さが50cm以上もあるオーディオ製品は、スピーカー以外にはなかなか無く、目立つ存在ですね。

 

 38cm/sで2トラックの録音/再生と19cm/sの4トラック再生が出来ます。本体が大きいのでVUメーターも大型のものが使われています。

 学校に通っているころから知ってはいたのですが、当時とても買うことは出来なかったのはもちろん、実物を見たことも無く、カタログを眺めているだけでしたが、数年前に「ヤフオク」で入手したものです。入手時は動きませんでしたが、修理してくれる業者さんを探して直してもらいました。メーカー純正の修理ではないので、初期性能からは落ちているのかもしれませんけどね.....

 上の写真では「10号」と呼ばれるリールをつけていますが、テープ厚は「35μm」で、往復60minのカセットテープのテープ厚の倍くらいありますので、38cm/sの2トラックだと、こんなに大きなリールでも、僅か45分しか録れません。それくらい贅沢な録音方法だったのです。
 カセットテープの場合は、リールのイナーシャーが小さくできたので、オープンリールテープの半分以下の厚みのテープでも実用になったのでしょうね。
 更に、テープ速度を「4.75cm/sec」に設定したことと合わせ、あの大きさでも往復60分や90分、あるいはそれ以上の録音が出来たわけですね。
 なおオープンリールの「2トラ 38cm/s」で録音されたテープは、大量には生産されていないようで、ヤフオクでは「中古のオープンリールデッキが1台入手出来るんじゃないか?」というくらいの高値で取引されることもあるようですよ。

 

 

 これを入手したのは、「VUメーターが大きい」というのと、「大きなリールが回っているところが見たかった」という「見た目」的な理由からです (音響機器なのに.....) 。
 この頃のSONYのデザインを今の若い方々がどう思われるか判りませんが、管理人のような昭和生まれは「格好良い」と思います。
 SONYといえば、最近では犬型ロボット「AIBO」の復活が話題となっていて、これはこれで広がっていってほしいと思いますが、管理人は1970~80年代のSONY製品が最も好きですね。

 

 

 この頃、SONYは「F&F」ヘッド (フェライト アンド フェライト) を特長の一つとしていました。

 

 

 

 左端から、消去ヘッド、録音ヘッド(2Track)、中央付近に2Track用と4Track用の再生ヘッドがあり、全部で4ヘッドです。
 右端には再生ヘッドの切り替えスイッチがあります。

 

 

 

 背面ですが、バックパネルは「木製」です。昔は結構ありました。
 当時としては高級機ですが、接続端子は「金メッキ」されていません。
 「TC-K8B」で紹介した有線リモコンは、本機でも使えます。

 

 

 オープンリールテープというのは、いざ使ってみると実感しますが、テープをセットするのに手間が掛かりますし、場所を取り、カセットテープのようなわけには参りません。
 また2曲目を聴こうと思っても、頭出しが出来ませんので、LPレコードよりもさらに使い勝手が悪いです。でも、このような「不便さを楽しむ」のは、今時マニュアルミッションの車とか、オートフォーカスや自動露出の出来ない昔のレンズ/カメラを楽しむのと似ているのかもしれません。
 再生している途中で、別のテープに変えることなんてことも出来ませんし、「お気に入りの曲だけ聴こう」といった聴き方は、この頃は邪道だったのだと思いますよ。

 隔週で発行されていたFM雑誌「FM fan」の1970年に発行されたものを見ると、オープンリールのデッキやテープの広告がカセット用のそれよりも多く掲載されています。カセットについては音楽用のものが出始めたばかりの頃ですから、音楽を愉しむのに、当時の主流は「カセット」ではなく「オープンリール」だったのでしょうね。

 この頃に「音楽をいい音で録音して、好きなときに愉しむ」というのは、かなりお金の掛かる趣味だったのだろうと思います。
 そういう意味では、今は「良い時代」だと思いますが、「定額で聴き放題」といったサービスも現れ、アーティストや楽曲に対する「リスペクト」が少なくなっているのでは?と感じています。

 

 最近ですが、過去のマスター音源から2トラ/38cmのオープンリールテープに収録したものが、ヴィーナスレコードさん、カインラボラトリーさんからリリースされているようですが、こういった動きが出てくると、「2トラ/38cm」に対応したデッキを入手しておいて正解だったと思いますね。
 加齢で15kHz以上が聴こえない管理人にとっては、「音質が良さそう」だけでは購入の動機にはなりませんが、既にCDを持っていて特に気に入っているタイトルがリリースされた場合には、衝動買いするかもしれません。

 本機では4トラ19cmのテープも再生できますが、業務用途向けの2トラ/38cmのデッキなどでは、4トラ19cm再生に対応していないものもあります。そういったデッキでは、音質最優先の録音が主な用途であれば問題ありませんが、市販の録音済テープを再生する場合、再生できるタイトルが2トラ/38cmだけに限られてしまい、それらはとても高価です。(2トラ/38cmだと、1巻あたり¥30,000~¥50,000くらいしますよ)
 今からオープンリールデッキを入手しようと考えている方は、このあたりにも注意が必要かと.....

 あ、「オープンリールデッキ」という言葉ですが、カセットテープが主流になる前は「テープデッキ」とか「デッキ」と呼ばれることもあったようです。
 「オープンリール」という言葉は「カセットとは違うもの」として、後から付けられたのかもしれません。

 

 

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 これは、「スペーサー」、あるいは「リール厚補正シート」と呼ばれるもの

 

 10号リールが使える「オープンリールデッキ」を発売当時に新品で購入された方には、「取扱説明書」も「スペーサー」も付いていたので、「スペーサー」について説明する必要はないと思います。
 しかしながら、最近「本体のみ」で、10号リールが使える「オープンリールデッキ」を入手した管理人は、「スペーサー」というものを理解するまでに、かなり時間が掛かりました。

 「スペーサー」は「10号金属リール」を使うときに使用するもので、「リールの厚み」を補正するもののようです。
 「7号リール」などで多く用いられている「プラリール」に比べると、「金属リール」の場合は薄くても強度を確保でき、逆に「プラリール」と同じ厚みにしてしまうと、「イナーシャーが大きく」「お高いもの」になってしまうのでしょうかね?
 あるいは、「10号金属リール」が先に存在していて、後から作った「プラリール」は「金属リール」の同じ厚みでは強度が保てない、という順序だったのでしょうか?

 

 

 実際のリールの厚みを測ってみました。
 まずは10号金属リール。

 

 

 

 リールによって、若干差はありますし、同じリールを測っていても、測る場所によって±0.1mmくらいの違いが生じることもあります。

 

 

一方、こちらは7号のプラリール。

 

 

 

 

 「10号金属リール」に比べると、「7号プラリール」は2mm弱くらい厚いようで、前後2枚の円盤の厚みはそれぞれで1mm弱くらい違っていて、「スペーサー」なしで「10号リール」を取り付けた場合、リールに巻き取られているテープは1mm弱くらい奥まってしまうと考えられます。
 逆に、「スペーサー」ありで、「7号プラリール」をを取り付けた場合、リールに巻き取られているテープは1mm弱くらい手前にくると考えられます。

 

 

 テープが走行する部分には「ガイド」がありますので、ヘッドに接触するテープの位置がズレてしまうわけではないのですが、リールが奥まっていたり、手前にあったりすると、テープのエッジがリールに擦れて、再生時などに「シャッ」「シャッ」という音が周期的に聴こえてしまいます。
 折角スピーカーからは「なかなか」の音が聴こえていても、デッキから「シャッ」「シャッ」と聴こえていたら、「今ひとつ」ですよね?

 

 

 

 

 

 「TC-R7-2」を入手した当時は「取扱説明書」が無かったので、管理人には何が問題なのか判りませんでしたが、いろいろと勉強するうちに判ってきて、純正品ではないものの、厚みが0.5mmの「スペーサー」を入手しました。
 「10号金属リール」を使うときには、これを左右のリールに2枚ずつ挟むことで、「シャッ」「シャッ」という音を軽減できました。

 

 

 

 これは最近入手した「SONYの純正品」と思われるものですが、ゴム製のようです。

 

 

 周辺部分の厚みは「約0.9mm」です。
 先に測定した「10号金属リール」と「7号プラリール」の厚みの差と辻褄が合いますね。

 

 

 「スペーサー」の有り無しによる「外観の違い」が判るよう、奥のリールにだけ「スペーサー」を付けてみました。

 

 「10号金属リール」は「スペーサー有り」で装着、「7号プラリール」は「スペーサー無し」で装着することで、テープの奥行き方向の位置を最適化できるのだと思います。

 

 

 

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 これは本機の「SONY」ロゴ。

 

 

 

 これは最近の機器の「SONY」ロゴですが、やや横長の文字になっているようです。「O」が判り易いですかね。

 

 

 

 昔の製品には、こんなものもあり、文字と文字の間隔が広くなっています。

 

 

 

 

 最近のSONY製品では、ロゴは統一されているようです。

 

 

 

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