「デッドな部屋」「ライブな部屋」という言葉が使われますが、前者はあまり響かない部屋のことで、例としては「畳の敷いてある和室で家具類が何も置かれていない状態」をイメージすれば良いと思います。後者はよく響く部屋のことで、例としては「フローリングの部屋で家具類が何も置かれていない状態」でしょうかね。
響きの違いは、両方の手のひらで「パン」と叩いてみれば体感できると思います。和室では「パッ」、フローリングの部屋では「パーッッ.....」って感じですかね。
また、和室の音は、叩いた手のひらだけから音が聞こえてくる感じで、フローリングの方は、手のひらからだけではなく、部屋の壁からも反射音が聞こえてくる感じがします。
この違いは、耳の肥えていない管理人にもわかりますが、何とか「見える化」できないかと、その音をマイクで拾ってストレージオシロで捉えたのが以下の波形です。
上が和室、下がフローリングの部屋、水平方向はどちらも20ms/divですが、後者のほうが波形が収束するのに時間が掛かっています。
これだけ違えば、同じスピーカー/同じアンプを使って同じ曲を聴いていても、かなり違った印象に聴こえるのでは?と思います。「いつも聞いているCDをお店に持ち込んで視聴させてもらったときには良い感じだったので購入してみたものの、家で聴いてみるとちょっと違う気がする」といったこともあるかもしれません。
ちなみに、メーカーがスピーカーの周波数特性を測定する時には、部屋の影響を受けないように、「音響無響室」と呼ばれる特殊な部屋を使うと思います。実際、かなり昔にそういった部屋に入ったこともあるのですが、前後左右の側面と天井には吸音材が張り詰められていて、床だけはその吸音材の上を金属製の格子が覆っていました。そうしないと人が入ってスピーカーをセットすることも出来ませんからね。でも全く響かない部屋にいると、なんか耳がおかしくなってきそうだったのを覚えています。
「部屋」が音に与える影響というのは少なくないと思いますが、あまりお金を掛けなくても「部屋の影響を少なくする」工夫は出来るのでは?と考えています。
その方法ですが、いろいろな本にも書かれていると思いますが、デッドな部屋にはいろいろとモノを置いていくと、ちょっと響く部屋になってきます。ライブな部屋では、絨毯を敷いたりタペストリーを掛けたり、ダンボール箱を畳んだものをスピーカの後ろに壁面に配置してみる、窓に厚めのカーテンを掛ける、などすることで、響きがおとなしくなってきますが、管理人は「ちょっと響くくらい」が生活するのにもオーディオを愉しむのにも丁度いいのかな?と思っています。
過去、引っ越しで部屋を空っぽにしたときに、ドアの開閉音の響き方などがそれまでと大きく変わってびっくりしたこともありました。部屋中に貼ってあったポスターを一度に全部外したのが特に効いたのだと思いますが、すごく響いて落ち着かない部屋になりました。
また、スピーカーをあまり壁に近づけすぎてしまうと、壁からの反射音による影響が大きくなると思われます。壁に反射して耳に届く音は、本来の音よりも時間的に遅れていてますし、周波数特性も変化したものになっているでしょうから、「左右の広がりが感じられ、部屋が狭くなったと感じない」範囲で、後方や左右の壁から離したほうが部屋の影響を受けにくくなるかと.....
あと、スピーカを置くときの高さですが、よく言われるように、ツイーターの高さ(3ウェイの場合は、ツイーターとスコーカーの中間の高さ)が聴くときの耳の高さと同じくらいなるように、スピーカースタンドなどで持ち上げると、高音が良く聞こえるだけでなく、床面からの反射音が少なくなり、すっきりした音になると感じています。
でも、管理人の耳は結構いい加減で、どんな音でも長時間聴いていると「耳が慣れてくる」という要素もあるみたいです。