最近発売されているTVで、もうひとつアピールされているものに、「4K/8Kコンテンツに採用される色空間BT.2020に対応することにより、再現できる色域が拡大する」というものがあります。
そこで、まずは既存の各種表示デバイスがどのくらいの色域を持っているか確認するため、「ブルーライトのこと」で測定した各表示デバイスの単色のu'v’値を「u’v’色度図」上に載せてみました。
「u'v'色度図」とは、以下のような図です。
管理人の持っているブラウン管モニタの「R/G/Bと白」のu’v’値をプロットしていますが、このような図は、テレビやディスプレイのカタログで見たことがあるのでは?と思います。
メーカーのカタログでは、xy色度図を使ったものと、u’v’色度図を使ったものの2種類があるようです。
xy色度図だと、図内での距離と色差の比率が一様でなく、図上では大きく色再現範囲が広がったように見えても、実は色はあまり変わっていないということもありますので、ここでは、図内での距離と色差の比率の変化が小さくなるように座標変換されたu’v’色度図上にプロットしています。
管理人が持っている各種表示デバイスによる差が判りやすいように、1つのu'v'色度図の中に収めたのが以下です。
TVとして売られていたブラウン管/プラズマ/有機ELが比較的広いエリアをカバーしているようです。
ハイビジョンの色空間「BT.709」を決めた頃は、表示デバイスの多くがブラウン管だったと思われますが、管理人の持っているブラウン管モニタと「BT.709」は、かなり近い特性になっています。(ブラウン管は1台しか持っていないので、他のモデルは測定できていませんが)
初代iPadの色再現範囲が最も狭いようですが、「ブル-ライトのこと」の「測定1」のページをご覧になればわかるように、青単色を表示させたときのスペクトルが他のデバイスと比べると幅が広く、色純度が下がるために、u'v'
色度図においても、三角形が小さくなるということですね。
でも、ここで測定したLEDとCCFLは、ちょっと前の製品ですから、最近の製品では、フィルターの改善により色純度が向上し、もっと色再現範囲が拡大されていると思います。
最近の表示デバイスを使える機会があれば、測定して追加したいと思っています。
さて、BT.2020で定めているR/G/Bですが、ほぼ「単色光軌跡」上にあるようです。
これは、レーザー光線のような「スペクトル幅の狭い単色光」でないと出せない色と思われ、赤は630nm程度、緑は530nm程度、青は465nm程度のレーザー光を光源として使うことを想定しているように思えますが、実在する物体の色をほぼカバーしようとしたところ、この色域になったようです。
「身近にあるものでレーザー光が出せるもの」としては、プレゼンテーションなどでよく使用される「レーザーポインター」があります。「赤」のレーザーポインターの分光輝度分布を測定したのが以下の図です。
(本体には、「波長 650~660nm」と記載されていました)
艶のない白い紙で拡散させた光で測定していますが、それでも計測器で測定できる上限を超えてしまいました。
デフォーカスさせて測定していますが、それでもスマホ画面よりも遥かに明るく、レーザー光が直接目に入ったら、悪影響があることが想像できます。
これは、「緑」のレーザーポインターの分光輝度分布です。仕様表には「532nm」と記載されています。
「青」のレーザーポインターと称して¥2,000で売られているものがありましたので、購入して測定してみました。このレーザーポインターの波長は「405±10nm」とのことですが、色純度は「赤」や「緑」のレーザーポインターほど高くはなく、u'v'図上でも、単色光軌跡からは、かなり離れています。
「405nm」のものは、正しくは「青」というより「紫 / バイオレット」と呼ばれるようです。
世の中には、他にも「450nm」や「460nm」のものがあるようですが、高くて管理人には買えません。
下の図は、測定した「赤」「緑」「青」のレーザーポインターのu'v'値をu'v'色度図上にプロットしたものです。
「赤」と「緑」は色純度が高いので「単色光軌跡」上に乗っていますが、「青」は単色光軌跡より内側に入っています。
「青色レーザー」は¥2,000で買った1本しか持っていませんので、他がどうなのかが判りませんが、もっと色純度の高い「青色レーザー」であれば、BT.2020をほぼカバー出来そうですね。
プロジェクターの高級機には、レーザー光源を使ったものが既に SONY (800万円) と JVC (350万円) から発売されていますが、JVC製のものはBT.2020のカバー率が80%、SONY製のものはカタログに「BT.2020の色域を完全には包含していない」旨が記載されていましたが、含まれない色域がどのくらい残っているのかは、判りませんでした。
管理人には到底手の出ない価格の機器ですが、それでもまだ「BT.2020」フルカバーではないようです。
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管理人の視力を考慮した上での、最近のTVに関する個人的な見解ですが、
1) 「4K/8K」:裸眼での視力が0.7以下の管理人には、通常の視聴距離で裸眼で見る限りは、Full-HDを超える画素数の必要性を感じません。
2) 「HDR」:今使っているTVでも明るさを落として観ているくらいなので、管理人にとっては、これ以上明るい画面の必要性を感じません。
3) 「BT.2020」:映像内容によっては差が判ると思いますが、今売られているTVは「BT.2020」で定める色域を100%カバーしているわけではないので、今後更に色域が拡大されたものが出てくるのではないか?と思っています。
今管理人が見ているのは、47inchのFull-HDでヤフオクで5万円くらいで入手したものですが、管理人にとっては「当面はこれで大丈夫では?」と考えています。
近い将来、「HDR」対応で明るくなった「8Kテレビ」を、至近距離から視聴し、更に画面からのブルーライトを防ぐために、「ブルーライトカット眼鏡」を使う.....なんて、「妙な使われ方」が一般的になったりして.....
液晶TVについては、CCFLを用いたバックライトからLEDバックライトを用いたものが主流になり、東芝/パナソニック/SONYの上位機種ではLG製の有機ELパネルを用いたものが登場しました。
自発光方式の有機ELについては、黒がちゃんと沈んでいることが大きなアドバンテージですが、それでもBT.2020が定める色空間を100%カバーすることは出来ないと思われ、今後はR/G/Bともレーザー光を用いたバックライトが登場してくるか、量子ドット技術や蛍光体の改善によりR/G/Bの各スペクトルを先鋭化させてくるのではと考えています。
黒がちゃんと沈む自発光の有機ELと、既にスペクトルが先鋭化しているレーザー光をバックライトにした液晶パネルで、この先どちらが「より高画質」になるのか管理人には判りませんが、新製品の動向には注目し続けています。
現在LG以外のパネルメーカーが家庭用TV向けの有機ELパネルを作らないのは、「将来性があるのはレーザー光源」「今から自社で有機ELパネルを開発しても元が取れない」と考えているのでは?というのが管理人の勝手な想像で、有機ELでは韓国LG社に先を越されてしまっていますが、「有機ELの次」で日本メーカーに巻き返してもらいたいと思っています。でも、もうムリなのかなぁ?
LGって、一時は「Lucky Goldstar」と云われていて、その前は 「Goldstar / 金星社」で、Samsungも、昔は「三星社」。「金星社」「三星社」の頃、日本企業は技術提携などの形でお金をもらって、さまざまなノウハウを提供したと思うのですが、日本企業が追い抜かれてしまうとは考えもしませんでしたね。
まぁ、同じようなことが、その何十年か前に、日本と欧米との間でも起きていたと思いますが.....
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管理人が今使っているヤフオクでお安く入手したTVですが、発売時は¥400,000程度したと思いますので、壊れたときは、直すよりも買い換えたほうが安くなりそうです。
今のTVが壊れたときには、裸眼で0.7以下の視力しかない管理人にとっては、Full-HDの解像度で良いので、有機ELで、今よりも格段に「映り込み」が改善され、50インチ前後のものが、数万円で買えたら良いのに.....といった、「ムシ」のいいことを考えています
(^_^);;
なお、u'v'色図上の三角形が大きいほど、再現出来る色の範囲は広いことにはなりますが、「広ければ広いほど高画質なTV」ということではなく、「中間色をどう出すか」という画作りが重要で、撮影したものをそのまま忠実に表現するのか、実物よりも鮮やかな色に見せるのかは、目的や好みで分かれるところです。
なお、「4K/8K」「HDR」「BT.2020」いずれの技術についても勉強中ですので、今後更にいろいろと新しいことを知るにつれ、言うことが変わってくる可能性はあります。