4KTVが暗い???(1)

 4K放送が始まって1年ちょっと経過しましたが、最近Web上には「4KTVが暗い」とか「4K放送が暗い」といった記事が出始めていて、「HDR技術に起因するのでは?」とも言われていますが、管理人にとっては「それホント?」と思うような記事もあります。
 いつかは「4K/HDR」対応のTVを買うであろう管理人も「わたし、気になります!」(「千反田える」風に) なのですが、管理人は「4K/HDR」に対応した受像機器も信号発生器も持っていません。
 それでも何か出来ないか? と色々考えていて、何週間も前から「下書き中 / 非公開」の状態でしたが、ようやく管理人的には「公開できるレベル???」になりました。

 

 「大事なことなので、2回言います!」が (笑) 、管理人は「4K/HDR」に対応した受像機器も信号発生器も持っていません。
 実際の「4K/HDR」の画面を調べて言っているのではなく、全て「4K/HDR に対する、管理人の想像/妄想」であることをお断りしておきます。
 管理人にとっては「是非とも、4K/HDRで観たい!」と思えるようなコンテンツが、今の処ないんですよ。

 

 管理人はHDRに関しては、「まだまだ勉強不足」で、本ページは「考察中 / 作成途中」の段階であり、ちょこちょこと加筆修正中ですが、「4K/HDR」に対応した機材を持っていない人の「戯言」と考えて頂いて構いません。

 

 今後何か気がついたり、知見のある方から御指導を戴ければ、追記/修正などするでしょうし、「管理人の勘違い?」と思えば、予告なく削除するかもしれません (笑) 。

 

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 まず始めに、ここで画面に映っているのは、「グレースケール信号」と呼ばれる、受像機器を評価するための「テストパターン」の一つ。 

 

 

 輝度信号の波形は階段波で、振幅はリニアに変化しています。(「0.2V / div 」です。)

 

 75Ωで終端した時には、同期信号部も含めて「1V peak to peak」の振幅があり、映像信号部の振幅は「0.7V」で、振幅が最も大きい部分、階段の一番高い所は「100%白」とも呼ばれます。
 この「グレースケール信号」を「ブラウン管モニター」の「BVM-D24E1WJ」に表示させ、各部分の輝度を測定します。
 なお、ここでは「1080 i 」フォーマットの信号を使っています。もちろん「HDR」ではありません。

 

 

 ブラウン管の場合、コントラストの高い静止画を長時間表示させていると、明るい部分で「アパーチャーグリル」の熱変形に拠ると思われる、「色純度の悪化」が発生します。

 

 ちなみに、SONYの「トリニトロン方式」や、三菱電機の「ダイヤモンドトロン」方式以外のブラウン管では、「アパーチャーグリル」ではなく、「シャドウマスク」と呼ばれると思います。

 

 

 また画面をMax付近まで明るくするとフォーカスも悪化しますので、動画を見ながらフォーカスの悪化を感じない程度にまで「コントラスト」を下げており、ここでは「max:2000」に対し「1500」に設定して輝度を測定しました。

 

 

 

 グレースケールを表示した画面上では、輝度信号波形と同様、階段を「一段一段」上るように明るさが伸びているように見えますが、実際に輝度を測ってみると、下のようなグラフになります。

 

 

 輝度に関して管理人は、長い間「cd/m^2」という単位を使ってきました。
 使っている計測器も、中古でお安く入手した古いものですので「cd/m^2」の表示ですが、最近は「nit」(ニット) と呼ばれることが多いようです。

 

 この計測器ですが、壊れているのかどうかも判らず、メーカーのWebサイトに拠れば「○○年/○○月以降は、補修用の部品が確保出来ません」ということだったので、その前にメーカーに校正を依頼しましたが、「6ケタの出費」が必要で、その後は校正していません。

 

 

 先に示した図を見る限りは、非直線な特性に見えましたが.....

 

 横軸と縦軸を「Log」にすると、なんと!「ほぼ直線」になるんです。
 ここで「右方向」「上方向」に余白を設けているのは、後で「HDR」と比較出来るようにするためです。

 

 

 「直線」ということは、「1次関数」で表すことが出来るわけですが、ここでは「 y = a*x + b 」の形ではなく、「 log(y) = a * log(x) + b 」の形となります。

 グレースケールの左端 (1step目) の輝度が「0.8452cd/m^2」、右端 (10step目) の輝度が「225.6cd/m^2」でしたので、ここから「傾き」と「y軸との交点」を求めることが出来、式は

   log(y) = { log(225.6) - log(0.8452) } / { log(10) - log(1) } * log(x) + log(0.8452)

 となり、数値に出来る部分を計算すると、

   log(y) = 2.426 * log(x) - 0.07304

 となります。

 

 この式を更にいじくると、こんな感じ。
 (高校生の頃に習ったはずですが、すっかり忘れていて、Web上で調べることで思い出しました (汗;;) 。)

   y = 10^{2.426 * log(x) - 0.07304 }
    = 【10^{log (x^2.426 ) } 】 / ( 10^0.07304 )
    = x^2.426 / 1.183

 ここで「 x のべき乗」となっている「2.426」が、「ガンマ」と呼ばれるものに近いものですが、「2.426 乗」というのは、「2乗 と 3乗 の中間」のような概念。

 

 昔は「関数電卓」がないと、値が求められませんでしたが、今では「iPhone」を横にしたり「Windows」に付いている電卓で「関数電卓」を選べば、計算できます。

 

 上のグラフでは、「ガンマが大きくなる程、輝度が上がっている」のですが、これは「最大輝度に制限がない場合」の話で、実際の表示デバイスでは「最大輝度」は決まっていますから、「ガンマが大きくなった」ときに「白ツブレ」を発生させないためには、中間輝度の部分を暗くしていくしかありません。

 

 これは「最大輝度が100cd/m^2」だった場合の例で、何らかの表示デバイス上で「ガンマが大きくなる」ということは、「画面が暗く感じられる」ということです。

 

 

 ちなみに、このグラフの縦軸と横軸を「Log」にすると、「傾きの異なる直線」になります。

 

 

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 「ガンマ」と呼ぶためには、横軸には「ブラウン管のドライブ電圧」を、縦軸には「アノード電流」を、対数目盛上にプロットするのが正しく、そうすれば「画面の明るさ設定」や「テスト信号のStep数」に関係なく一義的に決まり、その値はNHK発行の「テレビ技術教科書」に拠れば「2.5 ~ 3 程度」になるようなのですが、その方法だと液晶TVや有機ELなど「ブラウン管以外のディスプレイ」には展開出来ません。
 そこでここでは「邪道であることは、百も承知」で、横軸は「グレースケールのステップ値」、縦軸は「画面の明るさ」にしています。
 古~い映像機器/音響機器や計測器しか持っていない管理人には、「邪道」しか選択肢が無いんですよ (笑) 。
 また「ブラウン管のドライブ電圧」や「アノード電流」を測定するには、それに適した道具も必要ですし、20数kV (と記憶しています) の高電圧が露出することに対する、十分な安全対策を施した作業環境も必要ですので、一般家庭内で行うようなものではありません。

 

 さて、「HDR / High Dynamic Range」以前のものは、「SDR / Standard Dynamic Range」と呼ばれ、
「100cd/m^2」の明るさを想定していると聞きますが、HDRに対応していない「BVM-D24E1WJ」でも、「225.6cd/m^2」出ていますし、かつて管理人が常用していた液晶TVでは「HDRのこと (1) 」でも示したように、maxで「280cd/m^2」程度あり、それでは「明る過ぎる」と感じている管理人は「120cd/m^2」程度で見ていました。
 (管理人が実家に帰ってきてからは、このTVは父親が使っています)

 でも今から50年以上前、世の中に最初にTVが登場した頃には、「100cd/m^2」出すというのは大変なことだったのかもしれません。
 また、ブラウン管では、ネック部にある電子銃からの電子ビームを画面全体にスキャンさせることで画面を作っていましたから、画面の面積が大きくなる程、「100cd/m^2」出すのは難しくなっていたと思います。
 最近のTVなら「100cd/m^2」出すのは容易なことで、多くの家庭では「max:100cd/m^2」を想定して作られた映像を「それ以上の明るさ」で見ているものと考えられます。

 

 振幅の最も大きい部分は「100% 白」とか「100 IRE」とも云われますが、「画面の明るさが 100cd/m^2 になるように調整して観る」というルールはなく、観る側が「好みの明るさ」にしていますよね。
 そもそも、一般家庭に「輝度計」なんてありません。

 

 

 さて、4K/8K放送などで使われている「HDR」というのは、ハイビジョン放送では「8bit」だったのを、「10bit または 12bit」に拡張しているようです。
 HDRでは「max:1000cd/m^2 」程度を想定しているようですから、管理人が見ている「グレースケール信号」で云うと、更に「10ステップちょっとくらい」明るいところまで想定しているということでしょうか?

 

 但し「4K/HDR」に対応した機器に「アナログ映像出力」は無いみたいで、デジタル化された信号を「HDMI / High-Definition Multimedia Interface」という通信規格に則って送受信しているのでしょうから、アナログ接続したオシロを使って「振幅」を確認する方法は無いのかもしれません.....

 

 

 現在発売されている「HDR対応TV」は、明るいものでは最大輝度が「1000cd/m^2」近くある一方で、
「1000cd/m^2」達しているかどうか、明らかにされていないものもあるようです。
 仮に最大輝度が「1000cd/m^2」に達しているTVに映したとしても、「想定しているmax輝度」と「モニターが出せるmax輝度」がほぼ等しくなるでしょうから、「最大輝度を1000cd/m^2」と想定したコンテンツの中で
「100cd/m^2 程度の明るさ」と想定している箇所を、TV側が「100cd/m^2 程度」で表示した場合、「従来品より暗い」と感じる場合があるのではないでしょうかね?
 また、人の表情や背景に映る風景など、数~数十cd/m^2 程度の明るさを想定した部分が、従来品より暗くなっていると、「画面全体が暗い」と感じてしまうのではないでしょうか?

 

 最大輝度が「1000cd/m^2」に達している製品であっても、「実物の明暗差を忠実に再現する」ことを優先して画作りをした場合、上の図に示すように、「HDR技術を活かした、とびっきり明るい部分」では「HDR非対応TV」に勝っても、「HDR技術の要らない通常の明るさの部分」では、「HDR非対応TVよりも暗く見えてしまう」ことになってしまうのでは?と考えるからです。

 

 

 「HDR対応TV」といっても、「1000cd/m^2」程度、あるいは「それ以下」しか出せないうちは、従来のSDR技術でも収録できた範囲 (100cd/m^2まで) は、なるべく従来TVのような明るさにしておいて、そこから先は圧縮して「飽和させないように (潰れないように) ジワジワと伸ばしていく」ほうが良いのでは?と思います。

 

 別の言い方をすると、「最大輝度が大きいTVほど優れている」のではなく「中間部分をどう表現するかが重要」で、そこが「エンジニアの腕の見せ所」「メーカーが持っている画作りのノウハウ」だと、管理人は思っています。

 でもでも、「HDR対応TV」を開発する一部上場企業の「一流のエンジニア」の方々が、そんなこと判ってない筈がありません。
 そういった設定も出来るように「映像設定メニュー」の中に、ちゃんと仕込んであるのでは?と思うのですが、
「4K/HDR」に対応したTVや信号発生器を持っていない管理人には、確認の方法がありません。

 メーカーからデモ機を借りられるようなお立場の人で、誰か調べてくれませんかねぇ~~

 

 

 

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