「HDR」は、静止画を撮影するのにも使われます。但し動画の「HDR」とはちょっと違うみたいです。
フィルムで写真を撮影する場合、明暗の差が大きいものを撮影しようとすると、明るい部分に露出を合わせる (明るい部分で階調が出るようにする) と暗い部分が黒ツブレしてしまい、逆に暗い部分に露出を合わせる (暗い部分で階調が出るようにする) と明るい部分が飛んでしまい、収録できる明るさの幅 (「ラティチュード」といいます) は限られています。
一般的に使うネガフィルムに比べ、プロが使うポジフィルム (「リバーサルフィルム」とも言います) では、収録できる明るさの幅が更に狭くなるので、露出を「+」方向及び「-」方向に変化させたものも撮っていました。カメラにも「オートブラケッティング」といって露出を変化させた写真を撮れる機能がついたものもありました。
また、プロやハイアマチュアの方が撮影する場合、ライティングを工夫して明暗の差をコントロールするようなこともされていたと思います。
これはデジカメで撮影した例ですが、一般的にここまで「逆光」が強い状況で撮影はせず、フラッシュを焚くとかレフ板で光を当てるなど、ライティングを工夫する必要がありますが、ここはHDRの効果を確認するための撮影です。
なお「画面のサイズ」については、元データから変更していますが、「明るさ」や「コントラスト」は変更していません。
ラジカセが見えるように露出設定して撮影すると、奥のカーテンが「白ツブレ」してしまいます。
奥のカーテンが「白ツブレ」しないように露出設定して撮影すると、ラジカセが「黒ツブレ」してしまいます。
ここで登場するのが「HDR」機能で、ここでは「iPhone5」(古いよぉ~~、まだこんなの現役で使っているの?) で撮影。
一度の撮影で、「HDRなし」と「HDRあり」の両方を残すことが出来、まずこれは「HDRなし」
これは「HDRあり」ですが、ラジカセもカーテンも「ほぼほぼ」写っています。
仕組みは?というと、シャッターは一回しか切っていないつもりでも、iPhone側で露出を変えながら複数回連続して撮影したものを「いい感じ」に合成しているんですが、最新の「iPhone」なら「もっともっと鮮やかに」撮影できていると思います。
静止画の場合は、露出を変えながら複数回連続して撮影したものを「うまく合成」することで、コントラストの高かった映像をR/G/Bそれぞれ8bit
(256階調) の中に収めることが出来るんですが、複数回続けて撮影するわけですから、動いているものを撮影した場合、ブレた写真になってしまう場合があり、「動画撮影には使えない方法」かと思われますが、「ドライブレコ-ダー」にも使われていますので、動画においても使える方法もあるのでしょうかね。
何か判ったらUpdateします。
そもそも写真の世界では、「HDR」技術を使うことで写真が更に明るくなるわけではなく、「印画紙の白」以上の明るさは出ないわけで、コントラストの大きい風景を「インクの黒」と「印画紙の白」の間に「潰れを発生させずに、うま~く収めるための技術」と、管理人は理解しています。
但し、HDRを駆使して撮影した潰れのない写真が常に優れているのか?というと必ずしもそうではなく、撮影者が「伝えたかったこと」「表現したかったこと」に拠ると管理人は思いますし、HDRを使わず「フラッシュ/レフ版/フィルター」などを使ってうまく光をコントロールした「潰れのない写真」とか、「背景は潰れてもいいから、女のコの表情を自然に表現する」といった方法もアリかと思います。
なお「フラッシュ」や「レフ板」で光をコントロール出来るのは、近距離に限られていますから、広大な風景を潰れなく撮影する場合などで「HDR技術」が有効になることも多いかと思います。