オーディオ機器の価格って、いくらくらいが適当なんでしょうかね?
TVの場合、家電量販店では、画面サイズと画素数が同じであれば、多くの製品は概ね同じくらいの価格で販売されています。
原理的に異なる「有機EL」は、これはこれで、別の値付けになっていますが、「有機EL」という括りの中では、画面サイズと画素数が同じであれば、やはり多くの製品は概ね同じくらいの価格で販売されています。
一方、音響機器では「数値では表せない」要素があって、「カタログ上の数値が同様でも、聴こえ方は同様ではなくて、値段も全然違う」ことがある世界です。
一般的には価格が高い方が性能も良いのでしょうけど、価格にはキリがなく、いくらでも高いものはありますが、管理人が思うには、価格が上がることによる性能の向上については「価格差」で感じるのではなく、「価格比」で感じるのでは?、仮に価格に比例して性能が向上していたとしても、「性能差」ではなく「性能比」で音質の違いを感じるのでは?と思っています。
音量だったら、0.1Wの音が1Wになれば(0.9Wのup)、大きくなったことが判るでしょうけど、10Wの音が10.9Wになっても(これも同じく0.9wのup)、大きくなったことは殆ど判らないと思います。
音声の周波数でいうと、時報の「ピッ、ピッ、ピッ、ピー」の初めの3つの音は440Hz (ハ長調で「ラ」の音です) 、4つ目の音はその倍の880Hz
(これも「ラ」) です。差で言えば440Hz上がっていて、比率で言えば倍になっています。
880Hz → 1760Hz (2倍) になっても同様の変化を感じますが、880Hz → 1320Hz (440HzのUp) になっても同様の変化は感じません。
ピアノの鍵盤は、黒鍵を含めると隣同士の鍵盤の周波数比は「2の12乗根」=1.059倍になっていて、等差級数ではなく等比級数的に並んでいます。その音階の上に音楽は出来ているんですね。
お金で話をすると、今まで「¥100」で買えたモノが「¥200」になったら、誰だって「上がったぁ~~」て思いますが、「¥10,000」で買えたモノが「¥10,100」になっても。そんなにびっくりしませんよね?
価格差ではなく、価格比なんですよ。
人の感覚がこのようになっていることを「ヴェーバー・フェヒナーの法則」と言うようですが、「音質」の変化についても当てはまるのではないかと、管理人は思います。
例えば、一式で5万円くらいのものを持っている人が、一式で50万円くらいのものに買い換えれば、おそらく「飛躍的に音が良くなった」と感じるでしょう。でもそこから、更に50万円高い一式100万くらいのものに買い換えても、びっくりするくらいには変わらないのでは?と思います。
「高級な製品の音」に慣れて、そこから「更にもっと良い音」となると、もうひとつ「ゼロ」が付くようなお値段の製品に買い換えないと、明確な違いが判らないのでは?と管理人は考えていて (実際に高額なオーディオ製品を買ったことはないのですが) 、機器の性能は「そこそこ」あるいは「ちょっと良い」くらいにしておいて、いろいろなCD/DVD等を聴いたほうが、いろいろな発見があって愉しいのでは?思っています。
食べ物に例えると、舌が肥えて「高級な食材で出来たもの」しか美味しく感じられなくなるよりも、(健康被害を起こしそうなものは別ですが) そこそこのものでも「美味しい」と感じられるほうが「シアワセ」なのでは?と管理人は思います。
回転寿司で言えば、高いネタというのは「希少性」があるから高いのであって、「高いネタほど美味しい」とは限りませんし、何を美味しいと感じるかは、人によって様々だと思います。
ちなみに管理人が一番好きな「寿司ネタ」は、「大トロ」や「ウニ」ではなく「鯛」です。
(「水産物」と「オーディオ製品」を比較するのは、ちょっとムリがありますけどね.....)
また、使えるお金というのは、誰にでも「限度」がありますし、車の買い替え、家のリフォーム、子供の教育費、家族旅行、外食をしたり、流行の服を買ったりなど、オーディオよりも優先順位の高いものがたくさんある人の方が多いのではないでしょうか?
オーディオ機器については「そこそこ」で満足できていて、「好きな曲がたくさんある」ことも、「シアワセ」の形のひとつではないかと管理人は思います。
もしもこの先、天国とか地獄とかに行った時に、「ハイエンドの機器を揃えた最高の音質で聴けますが、曲は選べません」というのと、「音はラジカセ程度ですけど、好きな曲が思う存分に聴けます」の二択を迫られたら、あなたはどっちを選びますか?
管理人が選ぶのは、もちろん「後者」です。
「足るを知る」という言葉があります。
管理人の場合は、中古の「HMA-8500 / HCA-8000」と「NS-1000M」を入手した時点で、「アンプとスピーカーについては、当分はこれで十分。」と思っています。
HMA-8500については、Lo-Dブランドでこれを超えるものはHMA-9500/9500MkIIしかありませんし、NS-1000Mについては、これを超えることを意図した型番のYAMAHAスピ-カーはいくつかありましたが、「多くのオーディオファンの記憶に残っているYAMAHAのスピーカー」という意味では、NS-1000Mを超えるものは無かったように思います。
でも「クラシック音楽を聴くことのほうが多い」という方には、「NS-690」系のほうがオススメかもしれません。
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話は大きく変わりますが、例えばプロ野球選手とか、オリンピックに出場するような選手とか、世界的に著名なピアニストとか..... こういった人には、努力すれば誰でもがなれるとは管理人は思いません。
「生まれたときから持っている才能」と「その才能を伸ばせる指導者や環境に巡り合えた幸運」と「常人にはとても続けられないものすごい努力」などが、うまく噛み合って成就するものだと思います。
オーディオでも、「微妙な違いを検知できる人」というのは確かにいらっしゃって、でもそういった人には、ある種の「生まれたときから持っているもの」があって、それを努力や経験で補おうとしても敵わないのでは?と思っていますし、そういう方面に鋭敏な感覚を持っている方が、音楽やオーディオに関わる仕事に就かれているのではと思っています。(もちろん、管理人の個人的な見解です)
昔、音楽の授業で和音を聞き分けるようなテストがあり、おそらく「C」や「F」「G」を聞き分けるようなものだったのではと思います。(当時は「トニック」「サブドミナント」「ドミナント」と習っていました)
管理人には、「音が変化している」ことは判ったものの、単独で聴いてもどれがどれなのかは聞き分けられませんでしたが、ちゃんと聞き分けられる生徒もいました。
聴いたメロディーをその場ですぐに譜面に書ける人や、譜面を見て直ぐに歌える人もいますが、管理人が一生努力しても、そうなれるとは思えません。生まれ持った才能のある人には敵わないと思っていますし、当時の管理人には、「電子ピアノ」が買えるようなお金もなく、「才能の無さ」をカバーすることも出来ませんでした。
「そういった才能のない」管理人は、高価で高性能なオーディオ機器に囲まれるよりは、LP/CD/DVD/ブルーレイなどの多くのパッケージソフトと、中古でお安く入手したオシロ/スペアナなどの計測器に囲まれ、日々「あーでもない、こーでもない」と実験や計測をしていることのほうが愉しいと感じています。
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でも最近のオーディオ機器は、ちょっと良い物を買おうとすると、すごく高いような気がします。
最近発売された「Technics」のレコードプレーヤー「SL-1200G」は¥330,000しますが、昔の「SL-1200」は、¥70,000くらいの製品でした。新規設計なので「過去のSL-1200とは別モノ」だとはいっても、庶民的な価格設定のレコードプレーヤーを望まれる方も多いのではと思います。
(でも、SL-1200Gの前に先行発売された国内300台限定の「SL-1200GAE」は予約開始後30分で完売とか)
その後、コストダウンされた「SL-1200GR」という機種が¥148,000で2017年5月19日に発売されたようで、庶民的な価格に近づいてきました。
さらには「SL-1500 + カートリッジ (ortofon 2M Red) 付属」で「¥100,000程度」の製品も発売され、かなり購入し易くはなっていますが、リアルタイムでレコードを知らない世代の方が、「レコードって、どんな音がするのか、試しに聴いてみたい」と思うには「¥50,000未満」でないと、購入には踏み切れないかと思います。
昔はTechnicsもTVで盛んにCMが流されていて、「てくにぃ~くすぅ~~」なんてフレーズをよく聴きました。
当時はもっと安価なレコードプレーヤーもあったかと思いますが、市場が小さくなっってしまった今、Technicsとしては「そんなに安価な製品では開発費を回収できない」のでしょうか?
でも高級機種で金型代などの開発費を回収できた後に、庶民的な価格の製品が出てくることも期待しています。
Technics以外で云うと、例えば現在発売中の「ONKYO」のスピーカー「D-77NE」は、1本で¥175,000しますが、昔の「D-77」は¥59,800のスピーカーでした。
管理人が中古で入手した「YAMAHA」のプリメインアンプ「CA-2000」は、当時¥158,000でしたが、現行機種である「A-S3000」は、¥470,000もします。
「昔とは物価が上がっているから.....」とはいっても、TVの場合、昔のブラウン管TVから、現在のハイビジョン対応の液晶TVになるまでに、画面サイズは大きくなり、薄くなって場所を取らなくなり、ハイビジョンに対応し性能は明らかに大きく向上、「1インチあたり1万円」という言葉はブラウン管の頃からありましたが、今はもっと下がっています。その動きとオーディオ機器の価格の動きは全く逆です。
どうしてこんなことになるんだろうか?と考えると.....
管理人がオーディオに興味を持った頃、ビデオデッキは一般家庭にまでは普及していなくて、映像に関しては「放送されているコンテンツを、放送されているときにTVの前に座って見る」という愉しみ方しか出来ず、当時「ビデオデッキ」を持っていた人は、「ほんの少数の限られた人達」だったのでは?思います。
一方、「音」のほうは、「テープに録音して好きなときに聴いたりする」といったことが出来ました。
従って「少しでも良い音で」と音響機器に色々と凝り始める方も多かったのだと思います。
管理人が小学生だった頃は、家にはラジカセもなく、テレビの前に座ってメモするとかして歌詞を覚えるしかありませんでしたし、その情報を元に、修学旅行とか社会見学等のバスツアーで使う歌集を作ったりしていました。
後にラジカセを買って貰って、初めて録音したときの思い出など、今時の方から見れば、全然共感できない話かと思います。
当時は音質はともかく、「音声が記録できること」だけでも画期的なことだったんです。
今は映像が自由に楽しめる時代です。それも高価な機器を買わなくでも、スマホで簡単にハイビジョン画質で残せます。ブルーレイレコーダーがあれば、画質/音質が全く劣化しない状態でTV番組を残せますし、インターネット上にも動画はあり、多くの方は、「音だけの情報よりも映像を伴った情報のほうが面白い」と思いますよね?
CDが売れなくなったのも、こういったことも一因ではないでしょうか?
好きなアーティストの「武道館ライブ」のLPかCDを持っていたとして、もっと臨場感を高めたいと考えていたとします。アンプやスピ-カーを買い換えてもっと音を良くする方法もありますが、仮に「DVD/ブルーレイ版が出ている」と知ったら、多くの方は、まずは「映像付き」のほうに行くのではないでしょうかね? こちらのほうが安価で、情報量も多いです。
様々な方法で手軽に高画質な映像を愉しめるようになった現在、「音だけしか愉しめない」機器に高額を出す人が少なくなり、オーディオ市場は縮小し、少ない出荷台数で開発費 (試作品を作る費用、開発者の人件費、金型代など) を回収しようとすれば、割高なものになってしまいますよね。
管理人が学校に通っていた頃に住んでいたのは、田舎にある人口約1万人の町でしたが、家から徒歩で行けるような範囲に「ナショナル店会の店」「日立チェーンストール」があって、そこでは2階がオーディオ製品の専用フロアーになっていました。
他にも「主にSONY製品とYAMAHA製品が置いてあるお店」があって、そういったお店で色々なオーディオ製品を見たり触ったり、カタログを貰ってきたりしていましたが、今その町にはそういったお店はありません。
数多くのオーディオ機器が売れていた時代に作られた製品は、1台あたりに上乗せする開発費を少なくでき、しかも大半の機種は発売当時のお値段よりも大幅に値が下がっていて、今後更に大きく値が下がることもないでしょうから、現行品を買うよりはお買い得なのでは?と管理人は思いますが、どうでしょうかね?
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管理人がオーディオ機器を選ぶとき、「見た目」を気にしています。
というのも、大抵の方は、「鳴らしている時間」よりも「鳴らしていない時間」のほうが長いわけで、鳴らしてなくて「置いてあるだけ」のときの「見た目」が、自分の好みに合わないようだと、邪魔なものに感じてしまうと管理人は思っています。
その「見た目」ですが、管理人の場合、最近の機器よりも昔の機器の外観のほうが好きで、学校に通っている頃のお小遣いでは買えなかったような機器をヤフオクで安価に入手することが多いです。
見た目が気に入っていれば、壊れたときにも「捨てないで飾っておいて、直してくれる業者さんを気長に探そう」とか思います。