音楽録音以外の用途

 ここでは、音楽録音以外の用途向けに発売されたものなどを載せています。

 

 これは、オーディオ用ではなく、パソコン用。

 

 このテープには「PERSONAL COMPUTER CASETTE」と記載されていますが、NECがPC-8001を発売した頃 (1979年) は、「パソコン」ではなく「マイコン」と呼ばれることもありました。(「マイクロ コンピューター」とか「マイ コンピューター」 の略)

 当時のパソコンでは、「フロッピーディスクドライブ」は標準装備ではなく別売品で、まだ8インチのフロッピーディスクしかありませんでした。(「8インチ」と聞いてもピンと来ない方もいらっしゃると思いますが、A4の短辺くらいの長さです)
 ディスクもドライブも大きく、「業務用の大変高価なもの」といった感じで、庶民には高嶺の花でしたから、こういったテープを使ってBASICや機械語で作ったプログラムを専用のレコーダーで保存していました。
 「ピーー キュル キュル キュル .....」といった、電話回線に繋ぐモデムやFAXを送るときのような音がしていたように記憶していて、当時は「フロッピーだと、読み書きがメチャクチャ速いらしいよ」と言われていました (笑).....

 音声用テープと比べて特性がどう違うのかは良くわかりませんが、「記録時間が短い」「リーダーテープが短く、頭から記録可能」という特徴を持っているようです。
 レコーダーについては専用のインターフェースを持ったものが必要でしたが、テープは一般的なものでも使えたように記憶しています。

 その後、5.25インチや3.5インチのフロッピーディスクが登場し、一般家庭にまで普及していきましたが、管理人が初めてフロッピーディスクを入手した頃は、ワープロ専用機で作った文書を保存するだけでしたから、1年間に作った文書がフロッピ-1枚に余裕で保存できました。
 その後デジカメが登場し、Windows上で動くワープロソフト上で文書に写真を貼り付けるようになってからは、フロッピーディスクでは容量が足りなくなり、最近では殆ど使われなくなりましたね。
 管理人は、3.5インチのフロッピーディスクと同じ大きさで100MByte収まる「ZIPディスク」を、計測器で取ったデータをPCに取り込む手段として、まだ現役で使っています。
 壊れたときのことが心配ですが、そのときはまたオークションで「中古の動作品」を落とすしかないですね。

 

 

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 これは、NECから発売された「PC-8001」のデモプログラムですが、懐かしくて「落札」してしまいました。

 

 

 これが裏面。

 

 PC-8001の場合、「フロッピーディスク」も「ハードディスク」もないので、電源を「ON」すると、ROMに書き込まれていた「N-BASIC」が直ぐに起動、CLOAD "プログラム名" 「RETURNキー押下」で、読み込むことが出来た?と思われます。
 「N-BASIC」が「プログラミング言語」だけでなく「OS」の機能も果たしていて、電源をオンすると一瞬で起動する「小さくても、軽快なOS」でしたが、写真や動画は扱えません。
 パソコンで出来ることが広がるに連れ、色々なプログラムやドライバーを取り込まなくてはならなくなり、メモリーやHDDの容量が増え、起動には時間が掛かるようになりました。
 なお、管理人は「PC-8001」を持っていないので、「PC-8001」上で、本プログラムが動作している状態を確認することは出来ません (笑) 。

 「フロッピーディスク」みたいに「ランダムアクセス」は出来ないので、読み込みには「フロッピーディスク」よりも更に時間を要したと思われます。

 「PC-8001」の頃のパソコンは、「自分でプログラムを組めば、何でも出来る」という位置付けでしたが、「プログラムを組む」には、覚えるべきことがが多く「結構大変な作業」で、「プログラムを組めなければ、何も出来なかった?」ようにも思います。
 その後「PC-9801シリーズ」で、640KBのメモリが標準装備された頃には、ワープロソフト「一太郎」などのアプリケーションソフトが普及し、プログラムは「組むものではなく、買うもの」となり、「プログラミングするのは、ほんの一部の人」になっていったかと思います。

 

 

 これが、カセットテープ本体ですが、この「NEC」のロゴは懐かしいですね。

 

 

 これが「B面」。

 

 

 これが、再生波形と再生音。

 

 再生音は、PC-8001が発売された当時から聞いていて、「Windows3.1 / Windows95」の頃、「モデムを使ってインターネットに繋ぐ」時の音に似ていますが、管理人が波形を確認できたのは、このカセットを入手してからです。

 

 

 1980年頃「フロッピー・ディスク・ドライブ」は高嶺の花で、多くは、プログラムの保存媒体として「カセットテープ」+「専用インターフェースを持ったレコーダー」を使っていました。
 その後、NECのパソコンは、「PC-8001」⇒「PC-8801」⇒「PC-9801」と進化、でも「初代のPC-9801」は「フロッピー・ディスク・ドライブ」はオプション (それも、8インチ!) で、後継の「PC-9801F」でようやく、5インチの「フロッピー・ディスク・ドライブ」が標準装備になったと記憶しています。

 

 高校の「物理部」(正式な「部」ではなく、「同好会」だったのかもしれません) に、「PC-8001」とか、同じくNECから発売されていた「TK-80 (Training Kit 80) 」とか、日立製作所の「H68/TR」が置いてあったように思いますが、当時の管理人は「機械語 / アセンブラ」が判らなくて、「PC-8001」しか操作できませんでした。
 この頃は学校でも「PC本体」を買うのが精一杯で、「高解像度ディスプレイ」までは買えず、「RFモジュレータ」を使って、TVで白黒画面を見ていましたね。

 今では信じられないかもしれませんが、この頃の多くのTVには「ビデオ入力 / 外部入力」が無く、ビデオデッキからの映像を見るのにも、ビデオデッキ側で「1CH」あるいは「2CH」に「RF変換」したものを、TVのアンテナ端子に繋いで見ていました。
 云うまでもないと思いますが、1980年頃の高校の教室にパソコンなんてありません。

 「グリーン・ディスプレイだと、高いけど、目が疲れにくいよ」とか聞いた記憶があり、「カラー・ディスプレイ」なんて「更に、その先」でした。
 「CUI / Character User Interface」の頃なら、目に優しい「グリーン・ディスプレイ」が有り難かったのですが、今では誰もが「GUI / Graphical User Interface」上で、写真や動画を扱うようになり、「フルカラーが当たり前」ですよね。

 

 管理人が会社で最初に使うようになったパソコンは「PC-9801 RA51」で、当時日本国内で使われているパソコンの多くは、「NECの PC-9801 シリーズ」と「EPSON の互換機」でした。
 当時は「一太郎 (ワープロソフト) 」や「Lotus 1-2-3 (表計算ソフト) 」「桐 (データベースソフト) 」などの「DOS上のアプリケーション」が主流で、「Windows 2.1」とか「Windows 2.11」上で動くアプリケーションは、まだ主流ではなかったのですが、「Windows 3.1」「Windows95」が発売された頃からは、「Word」「Excel」や、Webを見るための「ブラウザ」などの、「Windows上で動くアプリケーションソフト」が主流になってきて、「MS-DOS上の互換性」が重要ではなくなり、「IBM-PC の互換機」が主流になっていきましたね。

 「MS-DOS」の頃の、フロッピー数枚に収まるようなOSなら、NECが独自に日本国内向けにローカライズすることも出来たのでしょうけど、「CD-ROMで供給されるような大規模なOS」になると、OSやドライバーなどをローカライズする手間が膨大になり、日本国内だけを対象にしたソフト/ハードでは開発コストを回収できないと判断し、NECも「IBM-PC 互換」路線に切り替えるしかなかったのだと思います。

 「地アナ」の頃には、いくつもあった「TVメーカー」が、「地デジ」になって淘汰されたのと似ているように思います。
 「地デジ」だと「ソフトの開発コスト」が大きくなり、シェア (販売台数) が大きくないと、ソフトウェアの開発費用が回収できませんからね。

 現在のNECですが、「PC-9801 / PC-9821」時代に築いたノウハウと販路があり、今でも有力なPCメーカーの一つかと思いますが、いずれ「Lenovo に吸収されちゃうカモ」です。

 

 

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 これはデータ記録用につくられたものですが、上で紹介した「パソコンで作ったプログラムを保存するような用途」とはちょっと異なり、データレコーダーで波形を記録する時に使うカセットテープです。

 

 「データレコーダー」では4ch同時に記録しますので、データレコーダー用に作られたテープには「A面」「B面」といった表記はありません。

 

 裏面はこんな感じで、ハーフ中央の「窓」はありません。 

 

 

 ハーフ上部の「長手方向の中心から、ややズレたところ」に「切り欠き」あり、おそらく表裏逆向きに取り付けたときには、レコーダー側に用意されたピンが、この「切り欠き」に「入り込む、あるいは入り込まない」ことによって、記録ができないような仕掛けかと思います。
 誤消去を防止するための「移動可能な蓋」も、片側にしか付いていません。

 

 昔、学校で「TEAC」のデータレコーダーを使っていたことがあります。
 機種名までは覚えていませんが、据え置き型で、上面と前面に操作部とメーターがあり、背面か側面にBNC端子があったように記憶しています。「C-3」と似たようなアイボリーを基調にした配色でしたね。
 波形を「1CH」~「3CH」まで同時記録出来るようになっていて、「4CH」目は、MIC録音になっていました。
 なんで「MIC録音」が必要かというと、実験した日時や条件をコメントとして入れたり、波形を記録しながら「マイクロ波照射します、3、2,1、オン!」とか、逆に「マイクロ波切ります、3、2、1、オフ!」とかコメント音声を入れておいて、条件の変化に応じて波形が変化しているかどうかを、後で調べるわけです。
 せっかく波形が録れていても、タイミング良くコメント音声を入れておかないと、どこでどのように条件を変化させているのか、わからなくなってしまいますからね。

 でも、学校にあったデータレコーダーを使う限りは、通常のカセットでも記録は出来ていて、上の写真のような「データ記録用の専用のカセットテープがある」とは、当時は知りませんでした。
 ということは、誤って「データレコーダー専用テープの裏面」をセットしたときだけ、デッキに設けられた機械的なセンサーが、カセットのハーフに設けられている凹部に入り込み、録音出来ないような仕掛けだったのでは?と推測しています。

 

 

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 これは「エンドレスカセット」と呼ばれるもの。

 

 写真のものは録音時間はわずかに3分ですが、3分といってもテープ長は 4.75cm / 秒 × 60秒 × 3分 = 855cm あって、内部で迷路のようにしても、855cmを確保するのはちょっとムリそうです。
 よくご覧になると判ると思いますが、左側にはハブがなく、キャプスタン軸の入る穴がありません。
 そのため「クローズドループ・デュアルキャプスタン」のデッキには使えませんが、一般的なデッキにおいて、裏表間違えてセットしようとしたときに、キャプスタン軸の入る穴がないので「セット出来ない」ようになっているのですね。
 また、「始め」や「終わり」がないので、中央部の窓がありません。
 通常のカセットテープの「中央部の窓」に当たる部分に「黒ずんだ」箇所があり、これは右側のハブの最内周部からテープを引き出して左側に送ってループにしている部分が見えているものと思われますが、そのため「巻き戻し」は出来ませんし、裏面は使えません。  

 

 

 裏面は、こんな感じです。

 

 

 「A面」「B面」といった表記はなく、誤消去防止の「穴」と「ツメ」 も、片方にしかありません。

 

 当時は、選挙演説とかスーパーの宣伝とかに使われていたと考えますが、いかにもアナログ的な手法だったと思います。
 「クリーニングカセット」や「パソコン用カセット」は、いくつかのメーカから発売されていたように思いますが、「エンドレスカセット」というのは、多くのノウハウが必要だったのか、需要が多くなかったのか、TDKしか発売していなかったように記憶していて、「ヤフオク」で探しても他社製の出品はないようです。

 

 

 と思っていましたが、他社製もありました。

 

 こちらについても、よくご覧になると判ると思いますが、左側にはハブがなく、キャプスタン軸の入る穴がありませんので、裏面をセットすることは出来ません。

 

 

 「A面」用の、誤消去防止の「穴」と「ツメ」 はありますが.....

 

 

 「B面」用の、誤消去防止の「穴」と「ツメ」 はありません。

 

 

 但しこちらは「4min」ですし、テープを戻すパスが、TDK製のそれとは異なるようですので、TDKからのOEM購入品ではなく、別に開発されたものかと考えられます。

 

 

 裏面が透明ですので、どのようにテープを戻しているのか判り易いです。

 

 

 「テープ走行が滑らかになるように裏面に特殊加工がして有ります」とのこと。

 

 

 

 こんなケースに入っていました。

 

 

 

 ブランド名は「CVS」ですが、「ECHO SONIC」という会社から発売されていたようです。

 

 

 こうして見ると、その後に登場した「ミニディスク」や「CD-R」といった録音メディアに比べ、カセットテープには色々とユニークなものがあったように思え、これは「LP」と「CD」を比較した場合と似ています。

 

 

 

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